使用済み漁網のリサイクルと資源循環
写真:再生漁網|出典:ニチモウ株式会社
もうひとつの大きな取り組みが、使用済み漁網のリサイクルです。
使い終わった網は、洗浄・カットを経てペレット(粒状の素材)に加工し、バージンペレットと混ぜてふたたび網へと生まれ変わらせる「水平リサイクル」を実践しています。
漁網から漁網へ——この循環にこだわっているところがニチモウさんらしい!
過酷な現場と人の手
使用済み漁網|出典:ニチモウ株式会社
使用済み漁網は東北(石巻・塩釜)に集められ、洗浄・選別の後、ペレット化します。
でも、この工程がとっても大変なんです!汚れや砂が付着した網を高圧洗浄機と人の手で丁寧に洗い、ナイロン・ポリエステル・ポリエチレンなど異なる素材が混在した網を手作業で切り分けていく…。電動カッターを使おうとしたら網が強すぎて刃が跳ね返ってきて実際に危険な場面もあったとのことで、頼もしいはずの丈夫さが、かえってネックになってしまう一面もあります。
担当者の方が「3人で1日1トン分作業して、本当に終わりが来るのかと思った」とおっしゃっていたほどの重労働。でも、「漁網リサイクルの現場作業の大変さを理解していることで、実際に出来上がった開発品やリサイクル素材を営業・販売する際にも、気持ちを込めることができる」という信念のもとで続けているんです。
リサイクル網を養殖事業などに実用化
漁網リサイクル養殖生簀|出典:ニチモウ株式会社
ニチモウさんでは養殖事業も行っています。養殖事業は、「海洋環境への負荷を低減する持続可能な取り組み」であるとして水産庁からも推奨されていて、ニチモウさんは40年以上にわたり養殖事業に取り組まれているスペシャリストです。
ニチモウさんが東北で製作した美銀サーモンと久慈育ち琥珀サーモンの養殖用生簀網には、このリサイクル素材を採用。現状ではリサイクルペレットを混合できる割合は13〜14%程度と限られていますが、「漁師さんに販売した使用済み漁網を、もう一度形を変えて漁網にして海で使う」という循環の実績を着実に積み上げています。
消費者側でも少しずつ変化が起きていて、スーパーのバイヤーさんがリサイクル素材で作られた生簀で育てた魚に注目し、売り場で説明してくれたケースもあったとか。「リサイクル素材を入れた生簀網で作った魚」というストーリーが、付加価値として認められる日も近いかもしれませんね!
【その他のリサイクル】使用済み漁網は、椅子のファブリックにも生まれ変わっています!
国際基準に対応する次世代漁具
FADs|ファッズ(出典:ニチモウ株式会社)
国際的な規制の動きも、ニチモウさんの背中を押しています。
海外まき網漁で使われる「FADs|ファッズ(人工浮き漁礁)」という漁具をご存知ですか?
広大な沖合に投げ入れることで魚を集めるための装置なのですが、これまで合成樹脂製のものが使われてきました。ところが今、世界的に規制が厳しくなっており、特に網目状のものはゴーストフィッシングを引き起こすとして法律上すでに廃止。今後一部の海域では、合成樹脂製FADsが使用禁止になります。
そこでニチモウさんは、4年間にわたって生分解性FADsの開発に取り組み、実際に漁業の現場で採用されました!
赤道付近の過酷な環境(引き上げた際に甲板の温度が60〜70度にもなるんだとか!)で何度も繰り返し使用されても、4〜5ヶ月の耐久性を実現。天然繊維の麻では69日でボロボロになってしまったケースもあるため、生分解性でありながら実用的な強度を持つ素材が必要だということがよくわかりますよね。
「規制が厳しくなった時に、ちゃんと今の基準に対応できる製品がありますよと言える会社でいたい」——そんなニチモウさんの姿勢、かっこいいですよね!なお、海洋での利用に適した生分解性素材の新しい国際基準づくりにも、ニチモウさんは参画しているそうです。












