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海を守る漁具がある!?ニチモウの「生分解性資材&リサイクル」に迫る|環境問題解決カンパニーを探せ!

海を守る漁具がある!?ニチモウの「生分解性資材&リサイクル」に迫る|環境問題解決カンパニーを探せ!

環境問題が深刻化する地球。最近では環境問題解決に向けて動き出している企業すなわち「環境問題解決カンパニー」を多く見かけるようになりました。このコラムではそんな環境問題解決カンパニーのことを「なんでも知りたいオフクロサマ」が徹底調査!

 

今回調査したのは、水産業のあらゆる場面を支える総合企業ニチモウ株式会社さん!

 

魚を獲る網から、流通・加工・包装まで、まるごと手がけているスゴイ会社なんです。しかも、海の環境問題に正面から向き合う取り組みをされているということで、オフクロサマも興味津々!さっそく一緒に見ていきましょう!

 

海洋ごみ問題の"見えにくい原因"

ゴーストフィッシング

 

海洋ごみ問題といえば、ウミガメの鼻に刺さったストローの映像を思い出す方も多いのではないでしょうか。あの衝撃的な映像がきっかけで、プラスチックごみへの関心が一気に広まりましたよね。

 

でも、海を汚す原因はストローだけじゃないんです!じつは、漁業で使われる網やロープも、あまり知られていない"見えにくい原因"のひとつ。

 

荒天などにより意図せず流出させてしまった網が海ごみになり、潮の流れに乗ってごみが集まりやすい場所へと運ばれていきます。そこに魚が絡まって命を落としてしまう「ゴーストフィッシング」という現象も深刻な問題なんです。

 

「漁網メーカーとして、環境に優しい漁具を開発し、きれいな海を守りたい!」——そんな発想から、ニチモウさんの取り組みはスタートしました!

ニチモウ株式会社とは?

ニチモウ株式会社とオフクロサマ

 

「浜から食卓までを網羅し、挑戦の歩みを未来へ」。これがニチモウさんのキャッチフレーズです。

 

1910年の創業以来、漁網を中心に国内の漁業発展に貢献し、1972年に現在の水産専門商社「ニチモウ株式会社」へと商号を変更。現在は、食品事業・海洋事業・機械事業・資材事業という大きく4つの部門を持ち、魚を獲る網づくりから、獲った魚の流通、加工機械や包装資材の取扱いなど、水産業の「浜から食卓まで」を一気通貫でカバーしています。

 

「豊かで健康な生活づくりを支える」というスローガンも掲げられていて、水産業を通じて人々の暮らしを支えるという姿勢が伝わってきます!

海に残りづらい「バイオ・生分解性漁業用資材」

バイオ・生分解性資材やリサイクル資材の数々とオフクロサマ

バイオ・生分解性資材やリサイクル資材の数々

さて、ニチモウさんが力を入れている取り組みのひとつが、バイオ・生分解性素材を使った漁業用資材の開発です。

 

2019年、環境省の補助金事業をきっかけにスタートしたこの取り組み。フロート(浮き)を皮切りに、網やロープ、さらにはバッグまで、さまざまな資材の開発へと広がっていきました。

 

もともとは“ひとつの糸”の開発から始まったものの、その糸はロープにも、ネットにも、クロスにも展開できる素材。そこから「これもできるかも」「あれも応用できるかも」と、次々にアイデアが広がっていったそうです。

 

ひとつの技術を起点に、現場のニーズに合わせてどんどんラインナップが広がっていったというから面白いですよね!

 

バイオ・生分解性漁業用フロートとオフクロサマ

バイオ・生分解性漁業用フロート

 

バイオ・生分解性タコ壺とオフクロサマ

バイオ・生分解性タコ壺。非生分解性と比べて、タコの漁獲量が約1.7倍になった実験結果もあるそう。

 

ポイントは素材の"組み合わせ"

バイオ・生分解性資材(タコ壺、イカ針、カキ管など)|出典:ニチモウ株式会社

バイオ・生分解性資材のラインナップ(漁網、ロープ、タコ壺など)|出典:ニチモウ株式会社

 

使っている素材の核となるのが「ポリ乳酸(PLA)」。食用に適さないトウモロコシなどを原料とするバイオマス由来の素材で、石油ではなく植物からつくられているんです。ポリ乳酸を主原料としたニチモウさんの資材のバイオマス比率は70%、生分解性素材率はなんと100%を実現しています。

 

ただし、ポリ乳酸はそのままだと硬くて網には使えません。そこでニチモウさんは、石灰由来の柔軟な生分解性素材をブレンドすることで、網に必要な強度としなやかさを両立させる独自の配合を開発しました!

 

ちなみに、生分解性資材の倉庫を開けると、ちょっと甘い独特なにおいがするんだとか。

自然由来の素材であることが、においからも感じられるようですね。

 

気になる性能とコストは?

バイオ・生分解性小型土のう袋|出典:ニチモウ株式会社

バイオ・生分解性小型土のう袋|出典:ニチモウ株式会社

 

正直に言うと、従来の合成樹脂と比べると、強度は1~3割ほど低くなり、コストは1.3〜2倍程度になります。まだまだ価格面でのハードルが高いのも事実。

 

でも、万が一海に流出してしまっても、海底の微生物によって分解されることが期待できるため、何百年も海に残り続けるプラスチックごみにはなりづらいです。これが最大の強みです!従来の合成樹脂は「丈夫で安い」からこそ普及しました。でも「ずっと残ってしまう」という、まさにそのトレードオフが問題の根源でもあるんですね。

 

「捨ててもいい」わけじゃない

ここで大切なことをひとつ!「生分解性だから捨ててもいい」というわけではないんです。

 

日本での一般的な生分解性の基準(2年間で90%が生分解する)に合わせてしまうと、海では使い物になりません。だからニチモウさんは、実際の海洋環境で使い続けられるよう、分解速度をあえてゆっくりに設計しています。あくまでも「万が一流出してしまった時に環境負荷が低い」資材。廃棄を推奨するものでは決してないんです。

 

このバイオ・生分解性資材を使った場合、最終的に微生物による分解を経ることを前提として、従来品比で約40%のCO2削減が期待できるという試算もあるそうです!

 

【次ページ】漁網のリサイクルと資源循環!

ecoco

Profile

ecoco

みんなの環境クイズ|ダイナリーチョイス」「エコ調査隊」「ごみブロ」のほか各種企画・取材・執筆・コーディング・WEBデザイン制作などを担当。カンキョーダイナリーを盛り上げたいWEBデザイナー。環境問題についてはまだまだ勉強中のため、初心者目線でゆるっと発信中。

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まとめ

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