お茶と環境問題の関わりを教えて!
お茶はチャノキという木の葉っぱから作られているよ!普段飲んでいるお茶(煎茶)はこのチャノキの葉っぱを蒸してから揉んで形を整え、乾燥させたものなんだホッ!
このお茶と環境問題との関わりを見ていくんだホ〜!
お茶の木によるCO2吸収・固定
お茶の木はツバキ科ツバキ属の常緑樹で、栽培が行われる間は樹木にCO2が固定されるんだ。二酸化炭素の吸収・固定量は、茶園1haあたりで23tという研究結果(※1)があるんだホ。お茶の木は密集して栽培されるから、面積あたりのCO2固定効果は果樹園よりも高いとされているんだホ〜!
(※1)「茶園における温室効果ガスの吸収及び削減量の J-クレジット化事業」(静岡大学農学部 准教授 南雲俊之)
有機農法による生物多様性保全・温室効果ガス削減
有機農法(有機栽培)というのは化学肥料や化学合成農薬を使わず、自然由来の肥料や微生物、ミミズなどの力を借りて自然な土づくりを行う栽培方法のことを指すよ!土壌にいる微生物などの生物活動を活発にして、生物多様性を保護することで、環境保全に寄与しているんだホ〜。
有機農法は慣行農法と比べて、温室効果ガスの排出量も少ないとされているんだホ!自然由来の肥料は土の中にいる微生物によって分解されるんだけど、分解されにくい一部が土壌有機炭素として土中に長期間蓄積されるんだホ〜。
他にも土壌に存在する窒素固定菌が植物の生育を助けるだけではなく、窒素固定効果も期待できるホ〜。従来の農法では化学的な窒素肥料を与えるけど、化学肥料の生産過程でCO2を排出するだけではなく、土壌に使われた窒素は一酸化二窒素(N2O)として大気中に放出されてしまうんだホ…。一酸化二窒素は、二酸化炭素に比べて地球温暖化への影響力が何百倍も強い物質だから、問題視されているんだホ〜。
有機農法によって土壌改良された土では窒素固定菌が植物の生育を助けてくれるから、化学肥料を大量に使わなくても済むし、大気中への一酸化二窒素放出量も削減することができるんだホ!
慣行農法でのお茶栽培では、他の作物の何倍もの窒素肥料を投入しているんだ。お茶を有機農法で作ることで、茶葉本来の香りと味わいが楽しめるだけでなく、温室効果ガスの排出削減や生物多様性に貢献することができるんだホ〜!
有機農法による水質保全
従来農法での化学的な窒素肥料を与えることは、水質の悪化を招いてしまうんだホ。肥料として与えることで、土壌に余分に含まれた窒素が川や湖に流れ込んで「富栄養化」(※2)を招くことで、水生生物の生存環境を大きく損ねる原因にもなっているんだ。
有機農法によって土壌改良された土では窒素固定菌が植物の生育を助けてくれるから化学肥料を使わなくても済むし、肥料で与えているのとは違って、土壌に余分な窒素が含まれることもないんだホ〜!有機農法を行うことは、川・湖・海などの水質保全にも繋がるんだホ。
農林水産省は平成18年に「有機農業の推進に関する法律」を策定していて、有機農法は少しずつ広まってきているんだホー!
(※2)富栄養化:水中の窒素・リンなどが必要以上に増え、それを栄養として利用する植物プランクトンが急速に増えた状態。富栄養化の影響で水藻などが異常増殖することで水中の溶存酸素が不足し、魚類や藻類が死滅して水環境の悪化を起こす。
代表 青木大輔さんの想い
私は400年以上続く静岡県藤枝市のお茶農家に生まれました。子どもの頃と比較して、茶園の廃業はより加速しています。特に山間地の茶園については、5年後には8割程度が無くなってしまうと言われているほどに深刻です。故郷でも他のお茶産地でも、茶業を盛り立てようと頑張っている方たちがたくさんいらっしゃいますが、なかなかうまく行っていないのが現状です。そんな現状から、今までなかった方法で茶業を盛り上げることが私のミッションだと感じて育ちました。
そして、前職でIRやファイナンスといった経営に携わる中で、日本企業のESG対応の遅れを目の当たりにし、これではいけないという危機感を持つようになりました。そういった中で、ESG対応と茶園の活用を掛け合わせ、両者の課題を解決するサービス「ChaaS」を始めました。
茶園には温室効果ガスの吸収削減や生物多様性の保全、水源の保全など企業が求める環境価値が詰まっています。使われずに無くなろうとしている環境価値を企業や社会に解放することで、茶業も企業も社会も、色々な課題を解決し活性化して行くことを目指し、日々取り組んでいます。
再生可能エネルギー導入といったESG対策は主流ですが、目に見えないものだし、全従業員が実感を持つとなると非常に難しいです。でも、お茶は実際に手に取れるものです。多くの従業員の方に「自分たちの会社の茶畑で作ったお茶で、環境問題解決に貢献できている」と実感していただき、そして取引先の方などに実感を伴ってお話しいただけることが、他のサービスにはない魅力になっていると考えています。
ぜひ読者のみなさまもChaaSで提供されるお茶「SUSTEA」を手にとって、環境問題解決に関わっていると実感していただけると嬉しいです。
まとめ
今回はオフクロサマと一緒に、茶畑と企業を結びつけるサービス「ChaaS」事業や、環境問題への取り組みについてご紹介しました。普段当たり前に飲んでいるお茶ですが、実は茶園が存続の危機にあることを、スタッフは今回初めて知りました。お茶産業を盛り上げ耕作放棄地の問題を解決しながら、企業のESG課題の解決にもチャレンジしているBlue Farm株式会社の活動は、茶園、企業、環境の問題を解決し、より良い社会を目指す取り組みです。
2025年2月14日にサービスインした「ChaaS」は、今後はサービスを利用している企業の福利厚生としての農業体験や、農福連携による人材活用、茶園の拡大による水源保全・生物多様性保全なども展開していくそう。今後もBlue Farm株式会社の取り組みに注目です!
\環境問題解決に貢献する企業は他にも!/
参考・引用文献
日本茶業体制強化推進協議会「Japan Tea Action」|お茶の歴史
日本作物学会紀事 第80巻 第2号|茶樹体に固定される二酸化炭素量の推定(堀内宣彦,虎尾健志,佐藤崇紀、廣野祐平,2011年)
日本土壌肥料學雜誌 第89巻4号|茶園のもつ二酸化炭素吸収源機能(南雲俊之, 森田明雄,2018年8月)
農林水産省|【有機農業関連情報】トップ ~有機農業とは~(2011年3月)
農林水産省|お茶の輸出入の動向(2025年)
日経BP|ISSB開示、27年にも義務化(2024年5月)