2024年6月、川を浄化する粉せっけん「美葉うぉっしゅ」のパッケージが変更され、より環境負荷を軽減した商品へとリニューアルされました。
リニューアルされたパッケージには、カンキョーダイナリー(環境>)を運営する大昭和紙工産業株式会社の「脱皮袋(R)」という紙袋をご採用いただきました。この「脱皮袋(R)」の特徴や環境配慮に優れた点については、後ほど詳しくご紹介します。
今回は「美葉うぉっしゅ」を製造・販売している、有限会社生活アートクラブ代表取締役 富士村夏樹さんに、商品の開発秘話や、創業当時から一貫して持つ「環境を育てる」想いについて取材した模様をお届けします。
有限会社生活アートクラブについて
まずは御社の事業内容について教えてください。
環境に優しいエシカルな日用家庭用品を製造・販売するメーカーであり、商社です。2002年3月に創業し、22年目を迎えました。
元々私の曽祖父が乳酸菌の研究をしていたことがきっかけで、私自身も「腸内環境」や「食」というテーマに取り組んでいました。腸内環境は生活環境と密接に関わっていて、生活環境は地球環境と関わっています。つまり地球環境が悪化してしまうと、生活環境も腸内環境も悪化してしまうんです。
腸内環境を良くしていくためには、まずは生活環境をよくする必要があります。そのため「環境にやさしい日用家庭用品を提供して生活環境から変えていこう」というところから、生活アートクラブがスタートしました。
創業当初は「積極的地球環境改善商品」というスローガンを掲げ、 「河川の浄化」「土壌の再生」「森林の育成」という3つのテーマで商品を作り、販売していこうとなりました。
企業理念にもある「環境を育てる」というのはどういったことでしょうか?
私たちの生活に欠かせない水は地球を巡っていて、大きな循環があります。大気中の水蒸気が集まり雲ができて雨になり、地上に降り注ぎ土壌に浸透した水は、地下水となり川から海に流れて、それがまた蒸発して雲になる。
その循環の中で水を汚さず、環境に負荷をかけないことはもちろん大切ですが、それ以上に「浄化していく」そして「育成していく」過程もセットで行わなければいけないと考えています。
当社では、この粉せっけん「美葉うぉっしゅ」だけではなく、殺虫剤や防虫剤、消臭剤、衣類やキッチン用品など様々なものを取り扱っています。一見すると色々なジャンルを取り扱っているように見えるのですが、全ては「浄化」「再生」「育成」のテーマで繋がっていて、総合して「環境を育てる」という事業活動をしています。
「環境を育てる」をテーマに多様な商品を取り扱っています
川を浄化する粉せっけん「美葉うぉっしゅ」
「美葉うぉっしゅ」はどのように開発されたんですか?
創業時からテーマとしている「河川の浄化」を考える際、そもそも水を汚す原因はなんなのか?と考え調査しました。中でも特に汚染の原因となるのが、農薬、天ぷら油、合成洗剤であることがわかりました。天ぷら油は、血管の中にあるコレステロールのように、水道管の中に油がこびりついて溜まってしまうんです。
調理で使用した食用油は固めたり、吸わせたりして処理する商品もありますが、飲食店ではそのまま排水口に流してしまうケースも多いようです。
ちょうどそのころ、妻が自宅でせっけんを手作りしていたことにヒントを得て、天ぷら油を回収し、その回収した油でリサイクルせっけんを作れれば、汚染原因である「てんぷら油」「合成洗剤」の2つをクリアできそうだ、ということが少しずつ分かってきました。
当時は北海道に住んでいて、近隣で製造できる場所がないか探した結果、苫小牧美々川のほとりにある知的障がい者授産施設「美々川福祉園」さんと出会い、一緒に商品開発を進めることになりました。 現在も美々川福祉園せっけん工場の皆さんに、ひとつひとつ丁寧に作っていただいています。
粉せっけん「美葉うぉっしゅ」は創業第1号の自社商品で、創業すぐに琵琶湖で開催された「世界水フォーラム」に出展したり、当社としても思い入れがあります。根強いファンの方々に支えられながら販売し続けてきました。
お客様からはどのようなお声をいただくことが多いですか?
配合している青森のヒバ油に抗菌・消臭効果があり、消臭効果が持続するといったお声をよくいただきます。「匂いが気になっていた衣類やタオル、枕カバーに使ったら匂わなくなった」「せっけん特有の匂いが気にならない」という点も好評です。
また、お肌が敏感な方にもおすすめの洗剤で、赤ちゃんの肌着、タオル、布おむつ、布ナプキンなど直接肌に触れるようなものを洗うときに使っているという方もいらっしゃいます。
お洗濯に使われる方も多いですが、食器洗いやキッチン、お風呂などの水回りにも使っている方も多いです。 TVで話題になった「プリン状せっけん」も作ることができるので、試してみたくて購入されるケースもあるようですよ。
今回パッケージのリニューアルに伴って1月末頃から新規の販売を一時休止していたのですが、販売を待ち望むお客様の声をたくさんいただいていました。 ようやく新パッケージで販売できるようになりましたので、お客様からの声が楽しみです。
\「美葉うぉっしゅ」購入はこちら/
「脱皮袋(R)」でさらに環境負荷を軽減
パッケージリニューアルの経緯について教えてください
「環境を育てる」商品を販売するに当たって、中身のナチュラルさや環境負荷の軽減というのは大切ですが、パッケージについてもできるだけ環境への負荷が軽減できるものにしていこう、ということでパッケージの脱プラスチックを進めてきました。
「美葉うぉっしゅ」については販売開始からこれまでずっと、ビニールのパッケージで販売を続けてきました。粉せっけんは水回りで使うものですし、当然ビニール袋に入っているものだと思っていました。
そんなときに、大昭和紙工産業の営業さんから紙袋への紙化の提案をいただいたんです。
パッケージを紙化すれば、袋が自立して保管がしやすいというメリットに加えて、環境負荷の軽減もできるため、環境意識の高いお客様に対してインパクトのあるご提案ができる。
そういったことから、今回のパッケージリニューアルへと繋がりました。
「脱皮袋(R)」の良いところはどんなところでしょうか
大昭和紙工産業の営業さんから紙袋のお話をうかがう中で、より環境配慮に最適な「脱皮袋(R)」という商品があるとご提案をいただいたんです。当初想定していた仕様では、防水効果を目的として紙袋の外側に加工されたラミネートフィルムが使用後に剥がせるというものでした。
このお話をうかがった時にピンときたんです。粉せっけんの大敵である湿気を防ぐためにフィルムの加工は欠かせない。でも剥がせるなら新商品のパッケージとして使えるんじゃないかと。
そこで、想定とは異なる仕様になってしまいますが、紙袋の内側にこの「脱皮袋」を施せないか相談させていただきました。なにせ内容物が粉末なので、紙袋の底が破けないよう試行錯誤を繰り返し、何度も何度も試作していただいた結果、完成したのがこのパッケージです。担当営業さんには本当に良くしていただきました。
粉せっけんを使い終わったら、紙袋を広げて内側のフィルムを剥がして、紙資源とプラスチックごみに分別することができ、紙は古紙としてリサイクルしてまた紙に生まれ変わる。プラスチックごみも出てしまいますが、今までより格段に使用量が減るため減プラできて、環境負荷を軽減できるため「環境を育てる」という当社の経営理念にもマッチしていてとても気に入っています。
使用後のパッケージを開いた後、内側のフィルムを剥がせます。
フィルムは燃えるごみへ、紙は資源としてリサイクルに出すことができます。
\はがせるエコな紙袋「脱皮袋(R)」とは?/
セロハンテープを使って剥がすアイデアは社内から生まれたのでしょうか?
紙とフィルムをどうやったら剥がしやすいかについては、社内で試行錯誤しました。セロハンテープで剥がすのが一番良いというのも、色々試していく中で出てきたアイデアです。
当社の商品は基本カタログ販売なので、剥がし方などを対面でご説明することはできません。「剥がして分別できる」「こうすれば剥がしやすい」といった事をお客様に伝えるには動画が一番だという事で、動画を撮ることになりました。
パッケージに動画をみられるQRコードを印刷して、分別をするときに見ながら作業できるようにしています。
\セロハンテープを使った剥がし方はこちら/
セロハンテープを使って「脱皮袋」のフィルムを剥がしてみました。
剥がし始めがスムーズになり、最後までスルスルと気持ちよく剥がせました。
\リサイクルできる紙、できない紙の違いは?/
読者の方へのメッセージ
この記事をお読みいただいている皆さまへメッセージをお願いします。
地球の環境問題や食の安心・安全というテーマは女性の方が敏感で、熱意やエネルギーがある方が多いように感じています。
男性でも若い方は非常に熱心で、協力的な方が多いですが、特に「生活環境」に関わる部分はいまだに女性の方が近いところにいると感じます。
特にお子さんができてその先の未来を考えた時に、より環境問題を熱心に考えていこう、というきっかけになるのかなと思っています。
そういった意味で、女性の方がより「いのち」に近いところにいて、環境問題について主導していく形になっているのかなと。
そうした「いのち」との繋がりがある生活環境を改善していき、腸内環境も、地球環境も循環しながら「育てて」いけるよう今後も事業活動を行っていきます。
当社の活動をぜひ応援していただきたいと思います。
編集後記
「いのち」と環境が繋がっているという話は、特に印象的でした。
自分の体内環境が地球環境と繋がりがあるという事を、日常生活のなかで実感することは難しいと思います。特に環境問題の幅広さ、奥深さ、解決の難しさを考えると、私たち個人ができることなんて微々たるものだと考えてしまいます。
今回お話を伺ったことで、できるだけ環境に負荷をかけず「環境を育てる」選択を着実に行いながら生活していくことで、私たち個人でも環境問題の改善に向けて関わりが持てるのだと感じ、身の引き締まる思いがしました。
また、今回のインタビューに当たり「美葉うぉっしゅ」について商品ページを読んでいくうちに、細部まで環境に配慮され、考え抜かれて作られていることに感動し、すっかりファンになってしまいました。 ぜひ読者の皆様もぜひ新しい「美葉うぉっしゅ」をお試しいただき、そして使い終わった後は当社の「脱皮袋(R)」をはがして分別してみてくださいね。