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着物転生デザイナー 安楽きわ|着物文化とサステナブルな衣服の未来

着物文化を未来へ

ファッション分野で一般の方ができる取り組みってなんでしょう?

まずは、使わなくなったら「すぐに処分」「すぐに廃棄」という考えに至るんじゃなくて、「これ、なんかならないかな?」ってちょっと1回考える。そうなってくるとその先が変わってくるんじゃないかなと思います。

 

 

今は日本でもサステナブルな考え方や取り組みも浸透してきているので、無印さんとか、ユニクロさんも洋服の回収をやってたりしますし、「破れちゃった、捨てよう」じゃなくて、「どうしたらいいかな?なんかならないかな?」って考えたりとか、そう思うことで循環することにつながると思うんです。

 

都の取り組みとか、それぞれが住んでる自治体の取り組みとかでも違うと思うんですけど、場所によってはどこかの国の支援に回したりっていうこともあるみたいなので、自分の周りの環境で回収されたものがその後どんな風になってるかっていうことに、ちょっと興味を持ってもらうというのも大きな一歩かなと思います。

 

私も自分で子育てをしてて思うんです。例えば最近、子供用のイベントでも、Tシャツを切って布草履を作ろうとか、廃材で何かを作ろうみたいなイベントって増えてきている気がします。そういうイベントに親子で一緒に参加してみると「僕のこれ、なんかになるのかな」っていう、芽生えが出てくるので、そういうイベントやワークショップにも参加してみると考えや意識が変わる良いキッカケになるかもしれません。

これから挑戦したいことについて教えてください。

タンスに眠っている着物もそうですし、これから新しくできる着物、最近だとニットの着物とか、デニムの着物とか、レースの着物とか、今までにない素材で色々な新しい着物の形もできているんですけど、そういった全部を含めて「着物」ですよね。

 

それが特別なものじゃなくて、もっと日常で使えるように、近い存在として広まっていける手伝いができたらいいなっていう風に考えて、日々取り組んでいます。

 

 

もう1つが、「制作時の端切れ」に関してです。これはまさにサステナブルという言葉に直結する話だと思うんですが、裁断した時に出る端切れを全部使い切るということを目標に、自分だけじゃ全部できないから、他の方とコラボして新しいものが生み出せていけたらいいな、使いきれるようになれたらいいなと考えています。

 

今までの経験上、上記の2点を取り入れて作る「着物を転生した衣服」は日本人よりも海外の方の方が受け入れていただける傾向が強いです。なのでこれを披露して海外に向けて着物文化の価値や着物自体の価値を伝えつつ、日本に対しても「大切にしまっておいて使わなくなってしまう」というのをやめて「もったいないから使おう」って思えるような発信や活動を広げられたらいいなという風に思っています。

 


安楽きわさん出展情報

展示販売会

着物メタモルフォーゼ展
〜美しき転生〜

日程 7月17〜21日
時間 12時~19時 最終日17時まで
会場 奥野ビル607 & 601 Galerie La 
住所 東京都中央区銀座1-9-8

 

イベント詳細近日公開予定

 

 

 


編集後記

今回の取材を通して、着物という存在の見方が大きく変わりました。正直なところ、取材前の私は、着物を「特別なときに着る伝統的な衣服」という認識でしか捉えていませんでした。しかし安楽さんのお話を伺う中で、それは単なる衣服ではなく、時間や想い、そして文化そのものが重なった存在であることに気づかされました。

 

特に印象的だったのは、「価値があるから使わない」という日本人特有の感覚です。一見すると大切にしているようでいて、その結果として循環が止まってしまっているという指摘には、ハッとさせられました。一方で海外では「もったいないから使う」という考え方が自然に根付いているという話もあり、自分自身の消費行動を振り返るきっかけにもなりました。

 

また、制作を「子育てのよう」と表現されていた言葉も強く心に残っています。完成した時ではなく、誰かに選ばれ、着てもらった瞬間に“転生”が完了する。その考え方には、ものづくりに対する深い愛情がにじんでいました。

 

「捨てる前に一度考える」。取材の最後にいただいたこの言葉は、とてもシンプルでありながら、これからの時代において大切な視点だと思います。日常の中でほんの少し立ち止まること。その積み重ねが、未来を変えていくのかもしれません。

(聞き手:エコジマ)

 


安楽きわ

Profile

安楽きわ

着物を現代ファッションへとアップサイクルする「和studio KIWA」を主宰する服飾デザイナー。2003年より着物の魅力と可能性に惹かれ、古布や着物を用いた洋服制作をスタート。現在は原宿を拠点に活動。

 

“着物転生デザイナー”として、単なるリメイクではなく、着物に込められた歴史や想いを未来へつなぐ作品づくりを追求。女優・歌手・舞踊家・フラメンコダンサーなど、多くのアーティストの舞台衣装も手がける。

 

また、2013年には着物文化を発信するアートプロジェクト「桃花節プロジェクト」を立ち上げ、企画・演出・衣装制作を担当。バンクーバーファッションウィークやイタリアでのコレクション発表など、海外でも高い評価を受けている。『VOGUE』や『ELLE』など海外メディアでも注目され、着物文化とサステナブルファッションを融合させた独自の表現を国内外へ発信し続けている。

着物転生デザイナー 安楽きわ|着物文化とサステナブルな衣服の未来

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まとめ

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