ごみ拾い活動は、街中や海、川、山、公園など、どんな場所でもできる環境への取り組みです。個人で自発的にごみ拾いをしたり、ごみ拾いのイベントに参加したり、誰もが気軽に参加できるごみ拾い活動は、環境汚染対策になるだけでなく、自分にも良い変化を起こしてくれることを、知っていますか? 今回カンキョーダイナリー(環境>)のスタッフが参加したのは、5月30日「ごみゼロの日」に開催された、東京農工大学の「プラごみ減らし隊」のごみ拾いイベント。20人弱の参加者が40分間のごみ拾いをした様子をお届けします!
ゴミ拾いボランティアって何?
ごみ拾い活動の目的
ごみ拾いのボランティア活動は、お金などの見返りを求めず無償で落ちているごみを清掃する活動。清掃活動の目的には、
- 対象の場所をキレイにすること
- 自然環境に流出するごみを減らすこと
- ごみをポイ捨てしにくい空気を作ること
ごみ拾い活動から得られる3つの効果
ごみ拾いは、街や自然環境をより良くする社会への貢献を目的にしていますが、実は参加する自分にもメリットがあるのをご存知ですか?ここでは、ごみ拾いをすることで得られる3つの効果をご紹介します。

①”ごみ拾いの目”になる
普段外を歩いている時に、道端に落ちているごみが気になることはあっても、道路植栽の中に入り込んだごみや、側溝に落ちているたばこの吸い殻にまで気付くことはあまりないですよね。一度ごみ拾いに参加すると、”ごみ拾いの目”が養われて、今まで気が付かなかったごみが発見できるようになります。
②自分の生活を見直すきっかけになる
ごみ拾いをして気がつくのが、ごみ収集場所の周りにごみが落ちていること。ごみが回収される際に溢れてしまったり、カラスや野良猫などの動物がゴミ袋から出してしまったりすることが考えられます。しっかりごみ箱に捨てたはずのものが、意図せずに環境に流出してしまうことを知ることで、「できるだけごみを出さないような生活にしよう」という意識が生まれます。
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③コミュニティが広がる
ごみ拾い活動は、小さな子どもから小学生、中高生、大学生、大人まで、誰でも気軽にできるボランティアです。幅広い世代の人や、異なるコミュニティの人が集まるので、ごみ拾いを通して様々な人とつながることができます。今回参加したごみ拾いイベントを主催する学生も、ごみを拾いながら他大学の学生や、地域の住民と繋がりが持てることが嬉しいと話してくれました。
ごみ拾いで健康に?
最近、ごみ拾いをスポーツとして楽しむことができる機会が増えています。例えば、ジョギングとごみ拾いを合わせたプロギングは普段のランニングにごみ拾いを取り入れるだけで、普段走る道をきれいにすることができます。また、ポイント制の競技として大会が行われているスポGOMIは日本だけでなく世界各地で開催されています。スポGOMIにはカンキョーダイナリーのスタッフも参加し、仕事を忘れて汗を流しながらスポーツとしてゴミ拾いを楽しみました!
ごみ拾いボランティアに参加するまでのステップ
「今までは個人的に一人で拾っていたけど、他の人と楽しみながらごみ拾いをしてみたい!」
「ごみ拾いをしたことがないから、イベントに参加するところから始めたい!」
という方に、ごみ拾いボランティアに参加するまでの3つのステップを解説します。

STEP01 参加する活動を探す
日本全国で様々なボランティア団体や、NPO法人、企業、自治体がごみ拾いのイベントを開催しています。まずは、SNSで#ごみ拾い #ゴミ拾い、などの関連するハッシュタグを見てみたり、「ごみ拾い (場所)」で検索してみましょう。参加できそうな団体があれば、SNSをフォローしたり、サイトをチェックしたりして、イベントの情報が入るようにしておくと良いですね。
また、ごみ拾いなどの環境イベント情報を掲載しているサイトを活用するのもおすすめ。街中で行われる活動もあれば、海岸や河川で行われるもの、スポーツとごみ拾いを掛け合わせた「プロギング」など、様々なスタイルがあるので、「楽しそう!」と思うものを探してみましょう!
\ごみ拾いを楽しむなら/
プロギング(plogging)|1分で学べる環境問題
STEP02 申し込む
参加したいごみ拾い活動が見つかったら、それぞれの活動の申し込み方法をチェックして、申し込んでみましょう!SNSのダイレクトメッセージや応募フォーム、メールなどが一般的です。一人で参加するのはもちろん、家族や友人を誘ってみても良いですね。
STEP03 参加する
申し込みが完了したら、あとは当日に参加するだけ!
ごみ拾いで準備するもの

ごみ拾いでは基本的には、
- 軍手
- トング
- ごみ袋
また、屋外でのレジャーと同様に手が汚れたり汗をかいたりするので、
- ウェットシート
- 汗拭きタオル
- 水筒
- ぼうし
- 着替え(長時間のごみ拾いの場合)
動きやすい服装で、足元は歩きやすいスニーカーなどがおすすめ。トングとごみ袋を両手に持つことになるので、ショルダーバッグやリュックなど、両手のあくバッグだと作業がしやすくなります。
ごみ拾いをする時の注意点

ガラスの破片や口の空いた缶など、素手で触るとケガをする恐れのあるごみもあります。必ず軍手やトングを使って回収し、袋に入れた後の扱いにも注意しましょう。また、子どもと海や河川でごみ拾いを行うときは、水辺の事故にも注意。拾いたいごみがあっても、危険な場所にある場合は断念しましょう。
個人でごみ拾い活動をするときは?
自治体によっては、清掃活動の申請をする必要がある場合もあるので、各自治体のホームページで確認しておくと安心です。ごみ置き場に捨てて帰るのか、個人で持ち帰るのか、など回収したごみの処理方法を事前に確認する必要もあるので要注意。
ごみ拾いボランティア体験レポート
参加したごみ拾い活動

ごみ拾いイベントに集まった学生
今回カンキョーダイナリーのスタッフが参加したのは、「東京農工大学プラスチック削減5Rキャンパス」の活動を学生主導で推進していくための団体「プラごみ減らし隊」が、東京農工大学府中キャンパスで開催したごみ拾い活動。当日の5月30日は「ごみゼロ」の日で、学年・学内外を問わず参加者の募集がありました。プラごみ減らし隊が関わるイベントについては、InstagramやX(旧Twitter)のSNSで情報発信を行っているそうです。
拾ったごみ
今回は、二手に分かれて、大学の周りをそれぞれ半周してごみを集め、最後にみんなで分別をしました。プラごみ減らし隊の学生を中心とした20名弱の参加者が、約40分間でゴミを集めた結果の一部をご紹介!

自転車の反射板
意図的にポイ捨てされたというよりは、偶然外れてしまった可能性が高そうです。自転車の安全を守るために必要なものですが、このようにごみとして放置されると海洋汚染などに繋がるため、外れそうな反射板がないか、日頃から自分の自転車をチェックする習慣をつけることで、プラスチックごみとしての流出を防ぐことができます。。自転車の反射板のような硬いプラスチックを見つけた時は、割れていると手を切ってしまうので注意して拾いましょう。

タオル
洗濯物が風で飛ばされてしまったのでしょうか。衣類や生活雑貨に多く使用される化学合成繊維もマイクロプラスチック問題の原因となっている素材です。化学合成繊維は、服を着たりタオルを使ったりするだけでもマイクロファイバーと言われる大量のマイクロプラスチックが発生することが明らかになっています。適切に処分されないと、分解されてどんどん自然にマイクロファイバーが流出してしまいます。洗濯物はしっかりととめるようにしたいですね。

空き缶やお菓子のパッケージ
飲んでいた場所にそのまま置いていってしまう人も多い、空き缶やペットボトル。お菓子のパッケージは風で飛ばされたのか、植木の奥の方に入り込んでいるものもありました。コロナ禍を経て衛生面を気にする人も増えたので、食べ物関連のゴミはしっかりと処分したいですね。「ポイ捨て」というと空き缶やタバコの吸い殻を思い浮かべる人も多いと思いますが、多くの自治体が周知しているように、例え1本でもポイ捨ては不法投棄という犯罪にあたります。

プラスチックの食品容器
テイクアウトや文化祭などのお祭りで多く使われる食品用のプラスチック容器ですが、最近はサステナブルな紙製のものも増えています。最近では、イベント中のゴミ処理でもゴミステーションでかなり細かく分別を求められることも多く、おしぼりや割り箸、プラスチック容器をしっかり分別する意識を持つようになった人も増えたのではないでしょうか?使い捨てのプラスチック容器を使った時には、リサイクルできるものはきれいに洗って資源に出すのが理想ですね。

マスク
現在でも使用している人が多い不織布製マスクですが、布のように使われている不織布の原料が実はプラスチックなのはご存知でしょうか?コロナ禍で「コロナごみ」と呼ばれ、使い捨てマスクや手袋などのプラスチックごみが増加したことが話題になりました。付け外しすることが増えたマスクは、飛ばしたり落としたりしないように、しっかり管理したいですね。

タバコの吸い殻
タバコは一見紙でできているように見えますが、実は中のフィルターはプラスチック。世界でもポイ捨てされる量が多いタバコですが、海などに流れ込むと環境中に残り続けることになります。また、タバコのフィルターの中にはニコチンをはじめとするタバコの生産や製造に使用された有害物質の残留物も含まれています。さらに、プラスチック汚染だけでなく、消したつもりのたばこのポイ捨てによる火災も多く発生しているため、吸った後の処理には十分注意しましょう。

カッターやライターなどの不燃物
針金やカッター、ライターなど、触ればケガにつながるような危険なごみも落ちていました。子どもがよく行く場所にこのような危険なゴミが落ちていると、大事に繋がってしまうことも懸念されます。ごみ拾いをしている時でなくても、普段からこのような危険なものを発見した時には、自分の安全にも気をつけて処分するようにしたいですね。
まとめ:ごみ拾いに参加した感想

集めたごみを収集所に捨てる
学生のみなさんとのごみ拾いは、「環境問題を楽しみながら解決したい」という想いを感じる1時間になりました。。ゴミ袋を持つ人とゴミを拾う人が「ありがとう」と声をかけながら歩くので、普段は友達や家族と話をする機会があまりない環境の話も、ごみ拾いの時間なら自然にできることが、ごみ拾いイベントの一つの価値だと思います。
一度ごみ拾いの活動に参加してみると、2回目以降の気持ち的なハードルはかなり下がります。まずは一人で初めてみるのも良いですが、興味がある方は是非コミュニティに参加してみてはいかがでしょうか?。
また、プラごみ減らし隊のみなさんに、なぜごみ拾いを始めたのか、どのような社会を目指して行動しているのか、というお話を伺った記事も公開しているので、ぜひ学生の言葉にも注目してみて下さい!
\ごみ拾い活動をする学生の想い/
【海洋汚染の原因と現状】農工大プラごみ減らし隊の“私たちにできること”環境活動探訪記シリーズ