日本を囲む“海”。
きれいな海には、魚や海藻など、たくさんの生きものたちが暮らしているよね。
でも最近、海藻が減ってしまったり、小魚が育ちにくくなったりと、海が元気を失っている場所が増えているんだって。
そんな海を“元気にする方法”があるのを知ってる?
[海を元気にする「施肥(せひ)」ってなんだ!?]
今回は「さかなっつハイ!」のお菓子でおなじみの「東洋ナッツ食品」さんに協力してもらって、 瀬戸内海を舞台に行われている「施肥(せひ)」の取り組みについて調査してきました!

施肥は、海に肥料を入れて、海藻や小魚を育てる“海の栄養補給”だった!
なぜ今、「海の環境づくり」が必要なの?
「きれいな海」なのに「魚がいない」!? 瀬戸内海の意外な真実
ここ数年、日本のあちこちで「磯焼け(いそやけ)」が問題になっているけれど、瀬戸内海では、「海がきれいになりすぎて魚が減る」という、信じられないような現象が起きているんだ。
漁獲量がピーク時の1/3に!?海が「きれいになりすぎた」
出典:豊かで美しい瀬戸内海の実現を目指した取組みについて|JF兵庫漁連
昔、高度経済成長期の頃は、工場や生活排水が流れ込み、海に栄養分が過剰になる「富栄養化(ふえいようか)」が大きな問題だったんだ。 この富栄養化が進むと、赤潮などが発生して海の環境が悪化してしまうんだよ。 そのため、排水をきれいにするルールを厳しくした結果、今の瀬戸内海の水はとても透明で美しくなったよ。
でも、その一方で、生きものたちのご飯となる「窒素」や「リン」といった栄養(栄養塩)まで激減してしまったんだ。
JF兵庫漁連の資料によると、瀬戸内海の漁業生産量は、1985年頃のピーク時(約40万トン以上)に比べて、近年は約14万トン程度まで減少。
なんと3分の1近くまで落ち込んでしまっているんだよ。
海の栄養が減っている
兵庫県の調査データによると、豊かな海を取り戻すためには、海の中の窒素の量が「0.2mg/L以上」あることが望ましいとされているんだ。
でも実際は、多くの海域でこの目標を下回っていて、場所によっては目標の半分以下、なんと1980年代の約4割程度まで栄養が減っている海域もあるんだって。
これを専門用語で「貧栄養化(ひんえいようか)」と言うんだけど、栄養がこれだけ足りないと、海の中ではこんなことが起きてしまうんだ。
- プランクトンが育たない(魚の赤ちゃんのご飯が激減)
- 海藻が色落ちする(栄養不足で海苔が黒くならない)
- イワシやイカナゴが減る(兵庫県のイカナゴ漁獲量は最盛期に比べてかなり減っている)
つまり、今の瀬戸内海は「お腹を空かせた海」なんだね。
そう。海藻や小魚が育つためには、適度な栄養が必要。 自然の力だけで回復するのが難しいレベルまで栄養が減っているからこそ、人間が手を貸して、 海に栄養をお返しする「施肥(せひ)」の活動が、今必要とされているんだよ。
施肥に取り組んだ「東洋ナッツ食品」ってどんな会社?
今回、この「施肥」の活動を行ったのは兵庫県神戸市にある東洋ナッツ食品株式会社さん。
1959年創業で、日本でいちばん最初にナッツだけを扱う会社としてスタートした、歴史あるナッツ専門メーカーなんだ。
食育や地域交流、環境を守る活動にも積極的に取り組んでいるよ。
東洋ナッツ食品の中でも特に有名な商品が、40年以上愛されているおやつ『さかなっつハイ!』。
いわし・アーモンド・ヌーナッツ(脱脂ピーナツ)などが入っていて、子どもから大人までファンが多いんだよ。
今回の「施肥」は、この『さかなっつハイ!』の40周年を記念した特別イベント。
もしこのまま海が痩せ細って、カタクチイワシが獲れなくなったら『さかなっつハイ!』も作れなくなってしまうかもしれない。
だからこそ、東洋ナッツ食品さんにとって「海を豊かにすること」は、自分たちの未来と、
子どもたちの美味しい笑顔を守るための本気のチャレンジなんだ。
『さかなっつハイ!』40周年企画「イワシにありがとうフェス」で子どもたちとつくる未来の海
10月4日の「イワシの日」に合わせて開催された「イワシにありがとうフェス」。
カンキョーダイナリーでも以前お話を伺った「さかなのおにいさん かわちゃん」も登場して、子どもたちが楽しみながら海について学べるイベントだよ。
本当なら、この日に子どもたちと一緒に須磨の海で施肥をする予定だったんだけど、当日はあいにくの雨。 安全のため、海での施肥は中止に。
その代わりに、子どもたちは海の生きものをイメージしながら、肥料袋に貼るイラスト作りにチャレンジ! イワシが気持ちよさそうに泳ぐ絵、ゆらゆら揺れる海藻、にっこり笑う海の生きものたちなどが描かれていたよ。
後日、東洋ナッツ食品のスタッフがそのイラストを肥料袋に貼り、須磨の海へ。
漁師さんの船に積まれた肥料袋は、“子どもたちから未来の海へのメッセージ”として届けられたんだ。
海を育てる「施肥(せひ)」とは?
陸の栄養を海へ! 循環を取り戻すプロジェクト
「海に肥料をまく」と聞いてもあまりイメージがわかないかもしれないけれど、仕組みは畑と同じ。 栄養不足で弱っている海底に、堆肥などの入った肥料を沈めて、じわじわと栄養を溶け出させるんだ。
◆兵庫県が推進する「豊かな海づくり」
実は兵庫県は、全国でもトップクラスに「豊かな海づくり」が進んでいる地域。 全国に先駆けて「栄養塩類管理計画」というルールを作り、海に栄養を戻す取り組みを本気で進めているんだ。
・下水処理場の運転を工夫
海苔や魚が育つ冬から春にかけて、あえて処理場から流す栄養を増やす「季節別運転」を実施。
・漁師さんによる施肥
今回のように、直接海に栄養を届ける活動をサポート。
・海底耕耘(かいていこううん)
畑を耕すように、船で海底の泥を掘り返す取り組み。 こうすることで、海底の泥の中に眠っている栄養分を海の中に戻して、プランクトンや海苔が使いやすいようにしているんだって!
今回の東洋ナッツ食品さんの施肥も、こうした県全体の「豊かな海を取り戻そう!」という大きな流れの中にあるアクションなんだよ。
◆ 施肥で期待される「3つの回復」
1.「藻場」の回復
施肥で栄養をもらうと、海藻がグングン育って、海の森「藻場(もば)」が復活するんだ。 この藻場は、小さい魚やエビ、カニたちにとっては超重要な隠れ家であり、産卵場所であり、安全なエサ場なんだ。 別名「海のゆりかご」とも呼ばれているよ。藻場が増えれば増えるほど、次の世代の魚がしっかり育つ確率が上がるんだ。
2.「漁獲量」の回復
施肥で海に栄養が増えると、まず植物プランクトンがモリモリ増える。 次に、それを食べる動物プランクトンや小魚(イワシ、イカナゴなど)が増えていく。 その結果、さらにその小魚をエサにするタイやタコといった漁師さんが獲りたい魚も自然と集まってくるという仕組み。 施肥は、海の食べ物ピラミッドの一番下の土台から栄養を補給することで、地域の漁獲量を根本的に回復させることにつながる作戦なんだよ。
3.「資源」のサイクル
施肥に使われる肥料には、地域の家畜のフンとか、今まで使い道がなかった資源が使われることが多いんだ。
昔、人々の生活から出た栄養は自然に川を通じて海に戻ってたんだけど、今は排水処理で止められてる。
この取り組みは、陸(人)から海へ栄養をお返しすることで、海と人との健全なつながりをもう一度作り直すための行動なんだ。
これこそが、豊かで美しい「里海(さとうみ)」を実現するための大事な一歩なんだよ。
地域と企業がつくる“持続可能な海”のモデル
今回の施肥は「CSR活動です、はい終わり」というものじゃなくて、
企業 × 地域 × 子ども × 漁師さん
がつながった、みんなで育てる海づくりのモデルケース。
1.企業が資源と発信力を提供し
2.漁師さんが「施肥」や「耕耘」で海を整え
3.子どもたちが未来への想いを描き
4.行政(地域)がそれをデータでバックアップする
このように海の環境づくりが“みんなのプロジェクト”になることで、取り組みは長く続き、より大きな効果を生み出すよ。
小さなアクションが未来の豊かな海を育む
施肥は、海が目に見える形で元気になっていく取り組み。 今回の東洋ナッツ食品の活動は、海が「手をかければ元気になる」ということを教えてくれたよ。
海を守る活動は、むずかしいことをしなくても参加できるよ。
- 海に興味を持つ
- 海の生きものを調べる
- 海ゴミを拾ってみる
- 藻場について学んでみる
そんな小さなアクションの積み重ねが、未来の海を育てる力になるんだ。
「海を元気にしたい」という思いがあれば、ぼくたちにもできることはたくさんある。これからも海の環境づくりの現場に目を向け、一緒に“未来の豊かな海”について考えていこう!
調査結果まとめ
- 海がきれいすぎて「貧栄養化」で魚が激減
- 神戸市では海の豊かさに向けた取り組みが行われている
- 海に肥料をまく「施肥」で藻場再生を目指している
JF兵庫漁連|豊かで美しい瀬戸内海の実現を目指した取組みについて
海と日本PROJECT in ひょうご|地域の水産資源を守る 明石市 園児がヒラメの稚魚を放流
兵庫県|兵庫県栄養塩類管理計画の進捗状況


















