毎日の生活で出る身近な容器 ガラスびん、缶、ペットボトル。
分別して資源ごみとして出したあと、いったいどんな道をたどって、
どんなものに生まれ変わっているんだろう?

[捨てられたビン・缶・ペットボトルはどうなるのか?]
調査してきました!

捨てられても終わりじゃない。また容器に・またボトルに!次のくらしをつくる材料になる!
「ガラスびん」は資源ゴミとして回収された後どうなる?
● リユース|リターナブルびん
びんを洗って、またガラスびんとしてくり返し使う方法だよ。 くり返し使用するびんは「リターナブルびん」とよばれ、代表的なものはお酒の一升びんやビールびん、牛乳びんなどがあるんだ。
リユースできるびんには「Rマーク」がついていて、「リターナブルびん」「なんども使える容器」といった表記がされているよ。 こういったびんは洗ってくり返し利用できるから、買ったお店に返却すると、リターナブルびんとしてリユースされるんだ。 宅配牛乳のように、配達するときに回収される事例もあるね。

リターナブルびんは丈夫につくられているから、1本で約30回以上くり返し使えるんだよ! 1回ごとに新しいびんをつくる必要がないから、資源やエネルギーを大きく節約できるんだ。 リターナブルびんの利用による2022年のCO2削減量は約7.2万tといわれているよ。

ごみの量も減らせるし、環境にとてもやさしい容器なんだね!
使用済みのリターナブルびんは、自治体やお店と協力して回収され、洗浄→機械検査→目視検査の工程を経て、再びリターナブルびんとして出荷されるよ。
環境によいとされるリターナブルびんだけど、最近では、重さ・回収の手間などでリターナブルびん自体が減少傾向にあるんだ。 2022年の使われているガラスびんの割合では、ワンウェイびん72%、リターナブルびん28%という結果。
経済産業省が公表している「2050年カーボンニュートラルに向けたガラスびん製造業界のビジョン」では、 「リターナブルびんを使用したリユースシステム」を強化する行動計画が発表されていて、リターナブルびんの利用活性化を推奨しているよ!
● リサイクル|ワンウェイびん
一方で、「ワンウェイびん」とよばれる一度しか使われないびんもあって、資源ごみとして回収された後はリサイクルされるよ。 ワンウェイびんや使えなくなったリターナブルびんは、回収後にくだかれて「カレット」とよばれるガラスの原料になるんだ。 ガラスびんはリサイクルされても品質が変わらないから、新しいガラス原料として作り変えることができるよ。
ガラスは「けい砂(ケイシャ)・石灰石・ソーダ灰」という3つの原料からできているんだ。
使い終わったびんをくだいて「カレット」として利用すると、これらの天然資源を節約できるだけでなく、
ガラスをとかすときに使うエネルギーも少なくすむよ。その分、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出も減らすことができるんだ。
資源ごみとして出されたガラスびんは、「無色・茶色・その他の色」に分けて回収されて、 異物選別→細かく砕く→ラベルをはがす→洗浄→磁気・風力・金属・目視などによる選別・検査を経て、 ガラスびんの原料「カレット」としてリサイクルされるんだ。

ガラスを色ごとに分けるのは、きれいにリサイクルするためだよ。ガラスは、原料に鉄や銅などの金属(酸化物)を少し加えると、茶色や青といった色がつくんだ。
ガラスを溶かすときの成分のちがいで色が決まるから、ちがう色をまぜて使うことはできないよ。
ちなみに、茶色や緑のびんは紫外線の遮光率が高くて、光による劣化を防止する役割で使われているよ。

お店で見かける薬や栄養ドリンクのびんに茶色が多いのは、長くいい状態を保つためだったんだね!
「ガラスびん」はどんなものに生まれ変わる?
もっとも多いリサイクル方法は、新しいガラスびんへの再生(びん to びん)だよ。
国内で使われているガラスびんのうち約70%がリサイクルされていて、回収されたガラスびんのうち 約77% が再びガラスびんに水平リサイクルされているんだ。 この「また同じものに作り変えるリサイクル」のことを水平リサイクルというよ。 水平リサイクルでは、リサイクルしても品質が変わらない素材が必要なんだ。つまり、びんの強さやきれいさが落ちないことが大切で、そうでないとこのリサイクルはできないんだよ!
ガラスびんを作るときには原料として 75%程度のカレット(リサイクルされたガラスくず)を使って、残りはけい砂・石灰石・ソーダ灰などの天然資源を加えるんだ。 カレットを 90%以上使用してつくられたガラスびんは「エコロジーボトル」と呼ばれるよ。 ガラスびんを作るときに使う天然資源の使用を大きく抑えることができるから、エコなボトルとして年々増えていっているんだ。
このように、無色・茶色のカレットはほぼ100%ガラスびんにリサイクルされるよ。
そのほか、色が混ざってしまったガラスは、アスファルトに混ぜたり、建物の断熱材やタイルに使われたりするよ。

最近では、びんを使うような量り売りのお店で「リユースびん」や「ドネーションびん」として、びんの寄付を呼びかける取り組みもあるんだって。 びんを忘れてしまったときなどに、このびんを使うことができるそうだよ。

身近に「リユース」を体験できるんだね。新しい容器を買わなくてもいいし、無駄なものを増やさずにすむね!
「缶」は資源ゴミとして回収された後どうなる?
飲み物の缶には、大きく分けて「アルミ缶」と「スチール缶(鉄の缶)」の2種類があるよ。
どちらもリサイクルにとても適した素材で、日本の2024年の缶(アルミ・スチール)のリサイクル率は90%以上!
世界平均の70%に比べて、日本は世界トップクラスの高いリサイクル率をほこっているんだ。
● アルミ缶
アルミ缶はとても軽くて、さびにくい金属だよ。ビールやジュースなどの飲料に多く使われているね。 2024年の日本のアルミ缶消費重量は31万トン。このうち、リサイクルされているのは2024年度でなんと99.8%! 日本では「缶は缶ごみに」ちゃんと分別して捨てられていて、また、分別収集システムがひろがっているのが、この高いリサイクル率の理由とされているよ。
回収されたアルミ缶は、まずプレス機でぎゅっと押し固められてかたまりになるんだ。そのあと溶かして、新しいアルミ製品に生まれ変わるよ。
アルミのすごいところは、何度リサイクルしても品質がほとんど落ちないこと。だから、新しいアルミ缶だけでなく、自動車の部品や電子機器、建材(たてものの材料)などにも使われているんだ。

1本のアルミ缶をリサイクルすると、同じ大きさの新しい缶をつくるために必要なエネルギーの約97%を節約できるといわれているよ。 これはとても大きなCO2削減効果があるんだ!

自動販売機の横やコンビニエンスストアなど、空き缶を回収してくれる場所がたくさんあるよね。 いつも何気なく捨てていたけど、回収されて、しっかりリサイクルされていたんだね。
● スチール缶
コーヒーや紅茶などに使われることが多いのが「スチール缶」だよ。リサイクル率は2024年度で93.5%と、 アルミ缶よりは低いもののかなり高い割合でリサイクルされていることは間違いないよ。
スチール缶は鉄でできているから、回収された後に磁石で分別され、溶かされて鉄の原料になるよ。 自動車や建物の鉄骨、橋などの大きな構造物に使われるんだ。鉄もアルミと同じように、品質を落とさずにくり返しリサイクルできるすぐれた金属だよ!
「缶」はどんなものに生まれ変わる?
アルミ缶は「CAN to CAN」といって、また新しいアルミ缶に生まれ変わる割合がとても高いんだ。 2023年度のデータでは、すべての缶のうち75%がCAN to CANで新たな缶に生まれ変わっているよ。 スチール缶もまたスチール缶に再生されることが多く、その他は車や洗濯機などの鉄鋼製品や大きな建材などに生まれ変わるよ。
缶はとくに高い水準でリサイクルが進んでいる素材なんだ。みんながきちんと分別して出すことで、この高いリサイクル率が保たれているんだよ!
「ペットボトル」は資源ゴミとして回収された後どうなる?
● マテリアルリサイクル|新しい製品になる
マテリアルリサイクルとは、廃棄物を原料として新たな製品を作るリサイクル方法だよ。
ペットボトルはマテリアルリサイクルによって、「ボトルtoボトル」の水平リサイクルと、「ボトルtoその他」のカスケードリサイクルの2種類の方法でリサイクルされるよ。
①ボトルtoボトル|水平リサイクル
使い終わったペットボトルから、また新しいペットボトルをつくるリサイクルだよ。
飲料用の容器に使うためには高い安全性が必要だから、一定の技術・品質基準が必要なんだ。
2023年のボトルtoボトルの割合は33.7%。缶やびんと比べてかなり低い割合だよね。
資源の有効利用やCO2削減の観点でもこの水平リサイクルは理想的なんだけど、現状では回収されるペットボトルの汚れや異物などが混じっていて、 回収される品質が悪いことが大きな課題なんだ。品質が悪いと再生処理が難しくなったり、廃棄が増えてしまったりするからね。
だから PETボトルリサイクル協会などでは、 2030年までにボトル to ボトル比率 50%を目指す「50%宣言」を掲げているよ。
②ボトルtoその他|カスケードリサイクル
カスケードリサイクルとは、元の製品よりも品質の低い製品にリサイクルされることをいうよ。 ボトルtoボトル(水平リサイクル)を実現するには、飲料用ペットボトルをつくるための強度・衛生面などの食品容器に適した高い品質の原料が必要なんだけど、 リサイクルしてできたプラスチックがそのレベルに届かないときもあるんだよ。
そんなときは、ペットボトル以外のものに生まれ変わるんだ。これを「カスケードリサイクル」というよ。 たとえば、フリースの洋服・カーペットの材料などの医療用繊維、食品用トレー、フィルムシート、文房具 などになることがあるんだ。
● ケミカルリサイクル|化学的に分解して原料にする
この方法は、ペットボトル(PET樹脂)を化学的に分解して、化学構造レベルで元のモノマーや中間化合物に戻し、 それを再びPET樹脂などに合成し直す仕組みだよ。マテリアルリサイクルよりも不純物の影響を受けにくく、より純度の高い原料が得られる可能性がある方法なんだ。
ただ実用化にはコストや技術のハードルがあって、現時点ではまだ規模としてはマテリアルリサイクルほど普及していないケースが多いよ。
この方法を取り入れている企業や研究も増えてきていて、将来性も期待されているんだ!
サーマルリサイクル|エネルギーとして使う
サーマルリサイクル(またはサーマルリカバリー、熱回収ともいうよ)は、 廃プラスチックを焼却して出る熱をエネルギーとして回収し、発電や施設の熱源に利用する方法なんだ。 プラスチックは石油を原料としているため可燃性が高く、燃やすと大きな熱エネルギーを発生するよ。
プラスチックに不純物が含まれていたり、リサイクルのための仕分けがむずかしい場合には、サーマルリサイクルによってエネルギーとして活用されるよ。 でも、燃やすことでCO₂や有害物質が出てしまうというデメリットもあるんだ。
日本の2024年度の廃プラスチックの 有効利用率は約 85.0%とされてるんだけど、そのうち、約64%がこのサーマルリサイクル(熱回収)なんだよ。 つまり、マテリアルリサイクル + ケミカルリサイクルを合わせた比率は、約25%前後でしかないんだ。
国際的な基準では、サーマルリサイクルはマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルとは区別されて、 「熱回収」として扱われるから、リサイクルとしては認められていないよ。 日本ではサーマルリサイクルへの依存度が高いから、リサイクル率の数字は表面上は高く見えても、 実際に資源として再利用されたり製品化された割合は低い、という指摘があるんだ。
ペットボトルはどんなものに生まれ変わる?
回収されたペットボトルは、缶やびんと同じように約33.7%がまたペットボトルに生まれ変わっているよ。でも、缶やびんよりも「ボトルtoボトル」の水平リサイクル率が低いんだ。 ボトルの他には卵パックや食品トレイ、文房具などのプラスチック製品、フリースなどの衣服の繊維、その他ペレットとして輸出したりしているよ。

環境のためにも、ボトルからボトルにする水平リサイクルを増やしていきたいね。ぼくたちができることはなんだろう?

飲み終わったペットボトルはきれいに洗って、ラベルをはがして、しっかり分別して資源ごみに出そう!
調査結果まとめ

●ガラスびんはリユースとリサイクルがある!約77%は新たなびんになる
●缶の約98%がリサイクルされている!ほとんどが新たに缶に再生される
●ペットボトルは約34%が新たなボトルに!水平リサイクル率をあげるのが課題
日本ガラスびん協会|自主行動計画目標と実績|当協会について
公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会|よくわかる!容器包装のリサイクル
ガラスびん3R促進協議会|ガラスびんのリサイクルは
ガラスびんリサイクル促進協議会|リユース、リサイクルの現状
PETボトルリサイクル推進協議会|水平リサイクル・有効利用
アルミ缶リサイクル協会|リサイクル率
一般社団法人 プラスチック循環利用協会|2023年廃プラスチック総排出量は769万t、有効利用率は89% 「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)」を公表 |プラスチック情報局