森をつくる農業「アグロフォレストリー」
カカオの生産地では、これまで農地を広げるために森を切り開く、といった方法が取られてきた地域も少なくありません。 その結果、森林の減少や生物多様性の損失といった問題が深刻化しています。
そこで注目されているのが、「アグロフォレストリー」という農法です。
これは、森をすべて切り開くのではなく、もともとある自然の環境を活かしながら、カカオとさまざまな作物を一緒に育てていく方法。いわば“森の中で育てる農業”です。
アグロフォレストリー|出典:株式会社明治
実際の農園では、カカオの木のそばにバナナやキャッサバ、地域によってはアサイーやパッションフルーツなどが一緒に植えられています。 どんな作物を組み合わせるかは、その土地の気候や文化によってさまざま。まさに「その土地らしさ」が表れる農業です。
この方法には、いくつものメリットがあります。
まず大きいのが、森林を守りながら農業ができることです。
従来のように森を切り開いて単一作物を育てるのではなく、もともとある樹木や植生を活かしながらカカオを栽培することで、森林の減少を抑え、生物多様性の保全にもつながります。
さらに、多様な植物が共に育つことで、土壌環境にも良い影響が生まれます。落ち葉などの有機物が土に還ることで栄養が循環し、 強い日差しや雨風から地面が守られるため、土壌の劣化を防ぐことができます。その結果、化学肥料などに過度に頼らずとも、長期的に安定した農業が可能になります。
そしてもうひとつ大きいのが、収入の面。カカオだけに頼るのではなく、複数の作物を育てることで収入源が分散され、 農家の暮らしの安定にもつながっていきます。天候不順や価格の変動といったリスクを分散できることも、大きなメリットのひとつです。
アグロフォレストリーは、環境にも人にもやさしい仕組み。
“森を守ること”と“作り続けること”を両立し、土地そのものを次の世代へつないでいく、新しいカカオづくりのかたちなのです。
「森とともに生きるカカオ」:アグロフォレストリー農法で作られたカカオ豆を使って作られたチョコレート
ブランドサイト:https://www.meiji.co.jp/products/brand/agroforestry/
農家が“続けられる”仕組みづくり
カカオの産地で起きている問題の根っこにあるのが、「収入の不安定さ」です。
カカオは、天候や病害の影響を受けやすく、収穫量も価格も安定しにくい作物です。 さらに、栽培技術や資材へのアクセスが限られている地域も多く、思うように収入を得られない農家も少なくありません。
その結果、短期的な収入を優先して森林を切り開いてしまったり、家計を支えるために子どもが働かざるを得ない状況が生まれてしまうこともあります。 環境問題と社会問題は、実はこうして深くつながっています。
こうした課題に対して、明治が大切にしているのが、「農家が続けられること」です。
そのひとつが、カカオ豆をプレミアム価格で買い取る仕組み。 適正な価値で継続的に購入することで、農家が安定した収入を得られるようにしています。
また、カカオ産地ごとに異なる課題に対して、それぞれに合わせた支援も行っています。
たとえばガーナ共和国では、井戸の寄贈や苗木の無償配布、気候変動に適応する栽培方法の指導を実施。
一方でペルー共和国では、剪定機や除草機などを無料で貸し出す「農機具バンク」を設立するなど、地域に応じた取り組みが進められています。
トレーニングスクールの様子|出典:株式会社明治
このように、実際に現地に足を運びながら、栽培技術の向上や明治独自の発酵法導入により、高品質カカオ豆の生産支援を進めています。 収穫量と品質の両方を高めることで、「より良いカカオを、無理なく作り続けられる状態」を目指しています。
単に原料を“買う”のではなく、産地と一緒に“育てていく”。
その積み重ねが、結果として児童労働や森林減少といった課題の解決にもつながっていきます。
環境に配慮したカカオづくりは、農家の暮らしが成り立ってこそ続いていくもの。
明治は、“森を守ること”と“暮らしを守ること”を切り離さず、両方を同時に実現しようとしています。
















