今後の展開
環境タイヤは自転車での導入が始まっています。2026年には自動車のタイヤでの実用化を目指していると伺いましたが、詳しく教えていただけますか?
そうですね。2026年からは、軽自動車クラスのタイヤをパイロット的に発売する準備を進めています。まだ本格的ではなく、試験的な段階ですが、来年にはより多くの方に活用いただけるよう準備を進めています。
安全面についてももちろん考慮しています。私たちは現在、自動車メーカーと直接やり取りしてはいません。タイヤ市場には大きく分けて『買い替え用』と『新車装着用』の2つがありますが、まずは買い替え用の市場、いわゆるアフターマーケットからスタートする予定です。安全基準や評定基準もクリアすることを前提に開発していますので、目処は立っている状況です。
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最後に、この後どのような展開をお考えですか?
自転車向けの取り組みは引き続き進めていこうと思っていますが、それ以外は色々なシナリオが考えられる、という感じです。大きな展望があるわけではありませんが、できるところから一歩ずつ進めていく、そんなスタンスですね。
私たちは、市場にマッチして消費者の方々にヒットするプロダクトを出し続けなければいけないと考えています。その中で開発テーマとして重視しているのは『環境配慮』です。環境ホワイトタイヤもその一例で、ただホワイトにこだわる必要はなく、色は白くなくても構わないと考えています。
最近は『ネイチャーポジティブタイヤ』という呼び方も出てきており、サステイナブルな取り組みを表す新しい言葉として使われ始めています。私たちとしてもこの名称で呼んでいますが、呼び方は柔軟で、『環境タイヤ』や『環境対応タイヤ』でも問題ありません。実際、自動車用は白くなく、サイドが茶色くなる場合もあるので、『ホワイトタイヤ』という言葉だけだと実態と少し違うかもしれません。それでも、言葉としては関心を引く表現ではありますね。
読者の皆さまには、ぜひ自転車や自動車のタイヤを通じて、環境に配慮した選択を体験していただければと思います。よろしくお願いします。
編集後記
リッパー株式会社の環境タイヤ開発は、CNF(セルロースナノファイバー)をはじめとするバイオ素材の特性を最大限に生かしながら、持続可能な社会への具体的な挑戦を示しています。軽量で高強度、さらに生分解性を備えたCNFは、従来の石油由来素材では実現できない環境負荷低減の可能性を秘めています。しかし量産化やコスト、素材の均一性など課題も多く、社長自身も「簡単ではない挑戦」と語る通り、開発は試行錯誤の連続です。
それでもリッパーは、地域の研究環境や自治体の支援を活かし、地道に実証実験を重ねながら、自転車向けから自動車向けへと実用化を拡大しようとしています。鈴木社長は、便利さの追求と環境負荷のバランスを見据え、企業としてできる責任を果たすことの重要性を強調します。そして「市場にマッチし、消費者に支持されるプロダクトを出し続ける」姿勢の中で、開発テーマとして環境配慮を最優先に据えています。
この取り組みは単なる技術革新ではなく、日常のタイヤ選択を通じて、私たち消費者一人ひとりが環境に配慮した選択を行える未来を形作る試みでもあります。私たちも、環境タイヤの普及に注目し、持続可能な社会に向けた選択を意識する時代がすぐそこまで来ていることを感じさせられます。
(聞き手:室チョー)

















