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リッパー株式会社 代表取締役社長 鈴木幹久|微細なゴム粉塵から地球を守る!

リッパーが考える地球環境の問題

改めて、いま私たちが置かれている地球環境をどうお考えですか?

いやぁ、ちょっと壮大すぎるテーマで、私がどうこう言える話でもないんですよね。地球環境の問題って専門機関でもないと正確には語れませんし、私自身も大雑把にしか言えません。でも、一つの潮流として『持続可能な社会』という方向性があって、私たちもその考え方に沿って取り組んでいる、という感じです。

 

ちなみに、私の町は昔、大変な公害で有名でした。大気汚染や水質汚染、海洋汚染も深刻で、今でも近隣の人たちから『環境があまり良くない町』と言われることがあります。実際、製紙工場から出る煙や排水、ヘドロなどの影響も大きかったです。

 

でも、だからこそ思うのは、環境は簡単に悪化してしまうけれど、改善もできるということです。私たち自身も、ある程度の責任を持ちながら、できることを積み重ねて、少しずつでも環境を良くしていきたいと思っています。

 

\1分で学べる!生分解性プラスチックとは?/

 

石油由来の物質がタイヤの粉塵として大気中に放出され、川を伝い、海に流れ出ています。海洋生分解性の実験もされていますが、その方法と結果を教えてください。

海洋での生分解性については、まだ黎明期の段階ですね。実際に海に沈めたりして実験している状況で、標準的な計測方法はまだ確立されていません。産業技術総合研究所さんなどで標準規格を作ろうと努力しているところで、今はいろんな研究段階にある、という感じです。

 

参考までに言うと、海に流れているゴム素材で有名なのは人工芝ですね。台風などで河川を通じて海に流れ、漂っているのが確認されています。削れた芝生や充填材も同じように海に流れ出ているんです。タイヤの場合も似たような状況で、まだ方法自体が探索段階ですが、少しでも環境に貢献できるように取り組んでいます。

 

踏み込んだ研究では、魚が食べて人間の食物連鎖に影響するかという話もありますが、そこまでの研究は私たちの範囲では行っていません。今はあくまで、海での分解性や影響を調べる基礎研究の段階だという状況です。

 

便利さを追求した結果、厳しい地球環境になったと考えられます。今後、私たちはどのような選択をすべきだとお考えですか?

正直に言うと、これからも人類は便利さを追求していくんじゃないかと思います。だから、『こうすべきだ』という話は難しいですね。ただ、タイヤひとつとっても、通常のタイヤと環境タイヤでは性能に差がある場合があります。環境のことを考えて選択する場面もありますが、必ずしも皆が理想通り選べるわけではありません。

 

現実的には、投資家や政府が動くことで流れができたり、環境タイヤの粉塵規制のような法律ができたりすることで、社会全体として環境に配慮した選択を促す形になっていくと思います。規制ができれば、少し乗り心地が悪くなったり、性能が下がったりする弊害はあっても、全体としては環境を選ぶ方向になります。

 

ただ、個人の立場で理想的に選択できるかというと、必ずしも簡単ではありません。過去のバイク用環境タイヤの例では、性能面で不評だったこともありますし、安全性の問題も出てきます。それでも、リサイクル素材を使う流れや企業の経営目標、投資家の動きなどで、少しずつ環境を意識した選択は広がってきています。

 

ですから、私たちが個々にどう行動するかというのは難しいですが、社会全体としては環境を意識した政策や製品選択を後押ししていくことが大事だと思っています。それが、私たちの事業としても狙いのひとつですね。

 

 

【次ページ】:今後の展開

 


鈴木幹久氏

Profile

鈴木幹久氏

リッパー株式会社(LIPPER K.K.)の代表取締役社長で、環境配慮型タイヤの開発に情熱を注ぐ起業家。技術者としての知見を活かし、次世代素材CNF(セルロースナノファイバー)などの可能性を追求しながら、革新的なホワイトタイヤを世に送り出す。常に新しいアイデアを形にすることを重視し、挑戦を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目指す、未来志向のリーダー。

 

リッパー株式会社(LIPPER K.K.)公式サイト

リッパー株式会社 代表取締役社長 鈴木幹久|微細なゴム粉塵から地球を守る!

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まとめ

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