インドネシアのゴミ問題の現状と影響

急増するゴミ排出量の背景
インドネシアでは人口増加と都市部への人口集中により、家庭ゴミから事業系ゴミまで排出量が年々増えています。とくにジャカルタでは、1日あたり約8,000トン以上のゴミが排出されているとされ、東南アジアでも最大級の規模です。
その一方で、行政が正規ルートで収集・処理できるのは約60%前後に留まると報告されています。さらに、不法投棄されている埋立地(オープンダンピング)を統計から除外する方針変更があったことで、実際の管理率は39%に修正されたことも明らかになりました。管理の行き届かないゴミは道端へ放置されたり、川へ流れ込んだり、非公式の回収人による収集に委ねられたりと、環境中に拡散していきます。
都市化のスピードに制度が追いつかないことで、“あふれたゴミ”が都市景観だけでなく公衆衛生・環境へダメージを与えています。
環境への影響:川の汚染と海洋ごみ問題
ジャカルタには多くの河川や運河が走っています。そこへ処理しきれずあふれ出た生活ゴミが流れ込み、深刻な水質悪化を招いています。排水路に詰まったゴミは流れを止め、雨季には年間数十回規模の洪水を引き起こす主要因とされています。増え続けるゴミは、こんなところにも直接的に影響を与えています。


川沿いを歩くと、濁った水面からヘドロの匂いが立ちのぼってきます。泥の中にはビニール袋や食品容器が混ざっていました。 こうして河川に流れ込んだプラスチックごみは海へ到達し、インドネシアを世界第2位の海洋プラスチック排出国と位置づける大きな要因となっています。 海洋生態系への影響はもちろん、漁業・観光などの産業へも悪影響を与え、長期的な国の発展にも関わる大きな課題となっているそうです。
住民の健康リスク
通称ゴミ山と呼ばれているゴミの最終処分場や溜め置きされた廃棄物からは、蚊・ハエなどの害虫が発生し、感染症のリスクが高まります。また、非公式集積所ではしばしば廃棄物が野焼きされ、有害な煙が大気を汚染します。
排水に含まれる微生物・化学物質による皮膚トラブルや下痢は、とくに低所得地域で深刻な問題として報告されています。今回のジャカルタ訪問時には路上にポイ捨てされたゴミがまさに排水溝へと流れ込みそうな現場をいくつも目撃しました。





















