リマニュファクチャリングとは？分かりやすく解説！｜1分で学べる環境問題

今のスマホが使いやすくて気に入っているんだけど、どんどん新しい型が発表されるから何となく変えなきゃいけないような気になってしまうわ。でもレアアースが枯渇している問題もあるし、まだ使えるのに新しいものに機種変更するのはすごく勿体無い気がするわね。

レアアースの問題に加えて、新しくスマホを製造することで炭素が大気中に放出されたりするといった環境コストがかかることも問題になっているよね。欧米では「修理する権利」といって、購入した製品が故障した際に、メーカーを通さずに消費者が自分で修理したり、希望する修理業者に修理を依頼する権利が法的にも認められつつあるよ。
ところでママは「リマニュファクチャリング」っていう言葉を聞いたことがある？

リマニュファクチャリング…？初めて聞いたわ。

リマニュファクチャリングとは、使用済み製品を分解して、洗浄、検査、補修、加工、再組立、最終検査をして新製品と同様の状態にすることを指すよ。略して「リマニ」「リマン」とも言うんだ。分野によってはリビルド、リコンディション、レトロフィット、オーバーホールなんて呼び方もされているよ。

リユースやリサイクルとは違うのかしら？

リユースは使用済み製品をそのままの形で繰り返し使うことを指す言葉だね。リサイクルはスクラップして素材まで戻してから再利用すること。これらに対してリマニは使用済み製品や部品を生産元が回収して、分解するんだ。使える部品はそのまま使いつつ、必要があれば修理や交換をして、新品と同等レベルの品質にして、再び販売されるんだよ。

なるほど。リマニはメーカーが関係していて、製造工程に関わる内容なのね。そのまま再利用するリユースと、素材に戻してから再利用するリサイクルの中間の考え方といったイメージかしら。

リマニをするのはどうして？

リマニは新品を製造することや、リサイクルすることと比較して省資源化につながるし、省エネやCO2削減にも繋がるというメリットがあるよ。さらに、リマニはサーキュラーエコノミー（循環経済）を実現するために必要とされていることでもある。サーキュラーエコノミーっていうのは製品や資源の価値を可能な限り長く保ち、再利用できる資源を循環させる経済モデルのことを言うんだ。

サーキュラーエコノミーは環境問題と関わりがあるの？

従来のリニアエコノミー（線型経済）では、大量の化石燃料を消費し、温室効果ガスの排出が加速しているんだよ。一方、サーキュラーエコノミーは、資源の循環利用を促進することで、温室効果ガスの排出を削減し、気候変動問題の緩和に貢献できると期待されているんだ。他にも資源を再利用することで資源の消費量を削減したり、廃棄物を資源として捉え直すことで廃棄物を削減したりするよ。他にも経済的なメリットも生み出す可能性を秘めていると言われているんだよ。

なるほど。リマニはサーキュラーエコノミーという経済モデルを実現する上でも重要で、資源の有効活用や廃棄物の削減、省エネ、CO2の削減にもつながってくるのね。何となく分かってきたわ。

具体的にはどんな業界でリマニが取り入れられているのかしら？

世界でも色々な業界で取り入れられ始めているんだ。アメリカ・ヨーロッパではリマニの市場規模は4-5兆円ほどで、自動車、建機・鉱山機械、航空機の分野がトップ3なんだ。日本でもトップ3は同じだよ！
市場規模が大きい順に紹介していくと、まずは自動車！エンジンや電装パーツ、ドライブシャフト、ブレーキなど色々なパーツがリマニの対象になっているんだ。日本ではトラック関連のリマニが多いみたいだね。

確かに自動車は修理するときにパーツを交換したりするわね。新品同様の状態にできるならリマニされた部品でも十分よね。

次は建機・鉱山機械！日本では油圧ショベルやブルドーザー、フォークリフト、産業機械で有名なコマツが約30年前からリマニを実施しているそうだよ！
その次に市場規模が大きいのが航空機分野！圧縮機や燃焼器、タービンブレードなどの各種パーツが対象になっているよ。

車や機械のリマニは何となくイメージしやすいわね。市場規模が大きいのも納得だわ。

他にも日本では複写機・複合機の事例もあるよ。リコーやキヤノンが1990年代から実施しているんだ。

複合機は会社で使っているけど、まさかそんなに古くからリマニに取り組んでいる企業があったなんて驚きだわ！

今は使う機会が減ってしまっているけど、レンズ付きフィルム（インスタントカメラ）でもリマニに取り組んでいるよ！特に富士フイルムは1998年にリユース・リサイクル工程と生産工程を一つにした循環生産システムを確立しているんだよ。

インスタントカメラ全盛の時代からリマニに取り組んでいたのね！結構身近な分野でもリマニの事例があるのね。

もっと身近なものでいうと、さっきママが気にしていたスマートフォン！アップルは2022年発売のiPhone14から、「修理して再利用」することを前提とした設計へと大きく変更されていて、各社にもこの動きは広まってきているんだ。

スマホにもそんな動きが広まっていたのね。全然知らなかったわ。

他にも電子部品や医療機器といった様々な分野に広がり始めているんだ。とはいえアメリカやヨーロッパと比べて日本は遅れをとっていると言われているよ。分解しやすい製品開発が前提になってきて技術面でも開発が必要となるから、今後日本国内でもどのような動きになってくるのか注目だね！