深海合唱団が描くこれから
これからどんな形で活動を広めていきたいですか?
牧野くみ|私がゑりさんがプロデュースしてくれている中で思うのは、例えばスポンサーをやりたいって手を挙げる人が出てきたとしても、エシカル(倫理的)じゃないこととかコンセプトとズレたことになりそうだったら絶対断ると思うんです。そういう、根本にある想いが一致した人と一緒にやりたいっていうところは、他のメンバーも一緒なんじゃないかと思います。

石山ゑり|そうですね。実は過去にもそういうケースはあって、関連性が薄かったり、コンセプトへの繋げ方にちょっと無理があったりと、いろんな実らなかったお話とかもあったので、それは実際に直面してすごく勉強にはなりました。
次なる挑戦として考えていることは?
石山ゑり|音楽面ではまだまだやれていないことはたくさんあって、ライブステージのことだけでもたくさん挑戦したいことがあります。次に予定している12月21日の巡り巡る音楽祭【冬】では一般公募で集まった子供達の「深海合唱団キッズコーラスメンバー」と一緒にステージに立つ予定で、現在はワークショップ形式でオリジナル楽曲作り・音楽家のお仕事を体験してもらっています。これも挑戦したかったことの1つですね。
また、以前プラスチックの展示をした時に、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の中嶋亮太さんに解説をしていただいたことがあって。そういう科学的な根拠だったりとか、研究されてる方々のお話を自分たちももっと聞いて、勉強していきたいっていうのもあります。私たちの活動の意義の1つは環境問題とかサステナブルの入り口を広げることだと思っていて、イベントの参加者が私たちの海洋プラスチックの装飾とか展示を見てくれることも増えてきたので、詳しく解説を求められた時には、それがどういうもので、どういう影響があってとか、科学的な根拠も合わせて伝えていけたらいいなと思っています。
▲読者に海洋プラスチックに触れるきっかけを与える「海洋プラスチックとわたしたち展」のビジュアル巡り巡る音楽祭【冬】は12月21日開催!
牧野くみ|ビーチクリーンに来た方に取り組みを説明した時に「どうしてこんなプラ片が砂浜にあるんですか?」って聞かれて。私もビーチクリーンをし始めた当初は知らなかったんですけど、深海合唱団として活動する中で得た知識があったから解説できて、参加者の方も納得してくださいました。学んでいなかったら説明できないことってたくさんあるなとつくづく思います。
misa|専門家ではないですが、一見難しい・堅いと思われる話題でも、身近にいる私たちが噛み砕いて、柔らかく伝えていきたいですね。そういう機会を今後は増やせたら良いなって思います。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

牧野くみ|私は今、音楽系の社会人学生もしていて、同級生には19歳とか20歳の子もいるんです。その中では「興味がある/ない」がはっきりしてる子が多い印象があって食わず嫌いで動いている子も見かけます。私としては興味なくてもちょっとやってみて、そうすると「意外とこれってこれに繋がってたんだ」って結びつくことが実体験で多くあったんです。なのでがっつり真剣に取り組んでとは言わないので、本当に興味本位で気軽に私たちの活動やイベントに参加しに来てほしいなって思います。
misa|私たちが楽しんで活動することも大事だと思っていて、そうすると外にいた人たちも「何やってるの?」と興味を持ち始めてくれて、そこから輪が広がっていくと思います。私たちの活動や他の環境活動に参加する方も、難しく考えすぎず、一緒に楽しんでいただきたいです。

石山ゑり|今、やっぱり若い人たちの方がすごく環境問題に対して色々知ってたり、小学校で習ったから来たっていう子たちがビーチクリーンでも結構いるんです。だから主観ですが若い人達の方が環境への意識がすごくしっかりあると思うんですよ。一方で義務教育で教わるようになっているからか、みんな真面目に、真剣に考えないといけないと思いすぎている子が多いのも事実かなと思ってて。地球に良いことをするんだから「もっと緩やかでいいんだよ」というのを伝えたいです。
それが私たちが音楽だったりアートだったりで伝えていけることかなと思うので。とにかく好奇心で動いて、実際に砂浜に来てもらうとか、触ってもらうとか、五感で体感するっていうのがすごく大事だと思ってるので、どんどん体験しに来てほしいなって思います。
編集後記
「巡り巡る音楽祭」「ビーチクリーン」と深海合唱団さん主催の活動に参加させていただいた上での今回のインタビュー。それぞれのイベントに参加させていただいた際も、堅苦しくない、まさに穏やかな海の波ように深海合唱団のみなさんが参加者や出演者を巻き込んでイベントを作りあげていく様子を目にしてきました。海洋保全や海洋プラスチック問題など、一見取り組もうとすると肩肘が張ってしまうような話題に音楽やアートと掛け合わせることによって「触れやすくする」。そんなコンセプトをひしひしと感じるインタビューでした。
深海合唱団の活動はこれからさらに加速していくそう。海の環境やサステナブルな取り組みは自分と全く関係ないと考えている人こそ、まずは深海合唱団のライブやイベントに訪れてみてはいかがでしょうか?深海で出会うような「神秘的な未知の何か」があなたの感情を揺さぶるかもしれません。
(聞き手:エコジマ)


















