【正解!!】山のゴミ問題　登山やトレッキングでの食べ残し、どうする？｜DAINARI CHOICE #15

塩分えんぶんや油分ゆぶんが含ふくまれている

残のこり汁じるや茹ゆで汁じるにも、食たべものの成分せいぶんが溶とけ出だしています。
この成分せいぶんは塩分えんぶん（調味料ちょうみりょう）や油分ゆぶんなどを多おおく含ふくんでおり、土壌どじょうや水質すいしつに悪影響あくえいきょうを与あたえることがあります。

塩分えんぶんは、土壌どじょうの化学的性質かがくてきせいしつを変化へんかさせます。
土壌どじょう中ちゅうの塩分濃度えんぶんのうどが高たかくなると、浸透圧しんとうあつが変化へんかし、植物しょくぶつの根ねから水分すいぶんが吸収きゅうしゅうされにくくなります。これにより植物しょくぶつが水分不足すいぶんぶそくになり、草木くさきが枯かれる原因げんいんとなるのです。
また、油分ゆぶんも土壌どじょう中ちゅうでの分解ぶんかいが難むずかしい成分せいぶんです。油分ゆぶんは水みずに溶とけにくいため、土壌どじょう中ちゅうに留とどまりやすくなります。これにより、土壌どじょうの通気性つうきせいや排水性はいすいせいが悪化あっかし、植物しょくぶつの根ねが呼吸こきゅうしにくくなってしまいます。
特とくに油分ゆぶんは、長期間ちょうきかんにわたり土壌どじょうを汚染おせんするリスクがあるのです。

また、実じつは山やまのゴミは土壌どじょうだけでなく、山やまの川かわから海うみへ流ながれ、海洋かいようゴミの原因げんいんの一ひとつともなっています。

水質汚染の原因と対策について解説｜日本の現状と私たちにできる取り組みとは

水質汚染とは 水質汚染は、海や川の水が汚れることです。汚れるといっても、本来は海や川の 自浄作用により、汚れた状態...

野生動物やせいどうぶつが人間にんげんの食たべものに依存いぞんする

食たべ残のこしや残のこり汁じる・茹ゆで汁じるの匂においや味あじに引ひき寄よせられた野生動物やせいどうぶつが、人間にんげんの食たべものに依存いぞんするようになると、その行動こうどうや生態せいたいが大おおきく変かわります。
人間にんげんの食たべものに慣なれた動物どうぶつは、自然しぜんの中なかでの適応能力てきおうのうりょくが低下ていかし、自みずから能力のうりょくを失うしなうことがあります。
また、人間にんげんとの接触せっしょくが増ふえることで、場合ばあいによっては動物どうぶつが人間にんげんに対たいして攻撃的こうげきてきになることもあります。

山やまのトイレは整備せいびされていないことが多おおい

山岳地帯さんがくちたいのトイレは一般的いっぱんてきに簡易的かんいてきなものであり、下水道げすいどうのような排水はいすいシステムが整ととのっていないことが多おおいです。油分ゆぶんや調味料ちょうみりょうが含ふくまれた固形物こけいぶつ・液体えきたいを流ながすと詰つまりやすくなり、トイレが使用不能しようふのうになるリスクがあります。

アウトドアを環境に優しく！エコに自然を楽しむ方法とおすすめグッズ

環境に負荷をかけずにアウトドアを楽しむ方法ゴミは捨てずに持ち帰る自然環境を活かしたレジャーを楽しむ方々にとってはいま...

実際じっさいに、現在げんざい山やまのゴミ問題もんだいが深刻化しんこくかしています。
観光客かんこうきゃくの増加ぞうかにより大量たいりょうのゴミが放置ほうちされ、環境かんきょうへの影響えいきょうが懸念けねんされているのです。 特とくに富士山ふじさんでは、オーバーツーリズム（過剰観光）とそれに伴ともなうゴミの放置ほうちやトイレの汚染おせんが大おおきな課題かだいとなっています。

日本人にほんじんの自然観しぜんかんや日本文化にほんぶんかに大おおきな影響えいきょうを与あたえてきた富士山ふじさんは、「富士山ふじさんー信仰しんこうの対象たいしょうと芸術げいじゅつの源泉げんせん」として2013年ねんに世界文化遺産せかいぶんかいさんに登録とうろくされました。 しかし現在げんざい、登山とざんマナーを守まもらない登山客とざんきゃくの増加ぞうかにより、タバコの吸すい殻がら、ペットボトル、空あき缶かん、ビニール袋ぶくろなどのゴミが大量たいりょうに捨すてられています。
こうした実状じつじょうを経へて2023年ねん9月がつ、山梨県やまなしけん知事ちじ　長崎幸太郎ながさきこうたろう知事ちじは「今いまの状態じょうたいでは、富士山ふじさんの世界文化遺産せかいぶんかいさん登録とうろくが抹消まっしょうされる懸念けねんがある」と、強つよい危機感ききかんを示しめしています。

ゴミ問題もんだいは土壌どじょうの汚染おせんだけでなく、日本にほんの文化遺産ぶんかいさんの抹消まっしょうの危機ききまでをももたらしているのです。
綺麗きれいな山やまを保たもつためには、私わたしたち一人ひとりが意識いしきし、マナーを守まもることが大切たいせつです。

「山やまに持もち込こんだものはすべて持もち帰かえろう。残のこしていいのは足あしあとだけ」

公益社団法人こうえきしゃだんほうじん 日本山岳会にほんさんがくかい発行はっこう｜山やまのマナーノートより抜粋ばっすい

山やまに登のぼるときはマナーを守まもり、ゴミを捨すてないようにすることが大切たいせつです。 食たべ残のこしたものは必かならず紙かみやチャック付つき袋ぶくろなどに包つつみ、持もち帰かえりましょう。

持もち帰かえりづらい残のこり汁じるなどの液体えきたいも、工夫くふうして持もち帰かえることができます。

スクリューキャップ付つきボトルに入いれる

液体えきたいをスクリューキャップ付つきボトルに入いれて持もち帰かえりましょう。もし使用済しようずみの新聞紙しんぶんしや紙かみゴミがあれば、吸すわせておくとなお安あん心です。
ビニール袋ぶくろやチャック付つき袋ぶくろなどよりも閉とじ口ぐちが強つよいため、漏もれや臭においの問もん題を防ふせげますし、帰宅後きたくごのゴミの管理かんりもしやすくなります。行いきは水筒すいとうなどで使用しようし、帰かえりは食たべ残のこしや残のこり汁じるを入いれれば一石二鳥いっせきにちょうですね。

凝固剤ぎょうこざいを使つかう

近年きんねんでは環境配慮かんきょうはいりょの目的もくてきで、下水げすいに残のこり汁じるを流ながさないよう、液体えきたいをゼリー上じょうに固かためて捨すてられる凝固剤ぎょうこざいが売うられています。粉末ふんまつを液体えきたいに投入とうにゅうするだけで簡単かんたんに固かためられるので、キャンプや登山とざんなど荷物にもつをできるだけ小こさくしたいときにも推奨すいしょうです。
液体えきたいではなくなるので漏もれることもなく、吸水後きゅうすいごは燃もえるゴミとして処理しょりできます。

片栗粉かたくりこで固かためる

少すこし手間てまですが、残のこり汁じるを鍋なべなどで再沸騰さいふっとうさせ、別べつ容器ようきにうつし、片栗粉かたくりこと一緒いっしょに入いれて混まぜて冷ひやせば固かたまります。固かたまった後あとは、ゴミ袋ぶくろに入いれてそのまま可燃かねんゴミに捨すてられます。

上記じょうきは持もち帰かえり方かたをご紹介しょうかいしましたが、できるだけ食たべ切きること・食たべ切きれる量りょうのみ持もっていくことが1番ばんです。 山やまのマナーを守まもり、美うつくしい自然しぜんを守まもりながら、未来みらいの世代せだいにもその魅力みりょくを伝つたえていくために、私わたしたちが意識いしきして行動こうどうしていきましょう。