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大気汚染だけじゃない!気候変動による身近な健康被害をわかりやすく解説

大気汚染だけじゃない!気候変動による身近な健康被害をわかりやすく解説

日本における環境問題による健康被害の歴史は古く、明治期の殖産興業政策時代から、戦後の高度経済成長期まで、大気汚染などのいわゆる「公害」は深刻な社会問題に発展しました。日本では1960年代に公害対策基本法などの法律が整備されて以降、克服の兆しが見られますが、近年では新たに気候変動による気温上昇や海水温上昇による海洋・水質汚染などによる健康被害が問題となっています。

環境問題が原因で起こる健康被害とは

環境問題と健康被害

 

21世紀になって、世界中で気候変動や地球温暖化の問題が取り沙汰されるようになると、環境問題が原因で起こる健康被害もひと昔前とは異なる「新たな健康被害」が表面化してきました。ここでは主に日本やアジア、南米、アフリカ諸国などで問題となっている4つの例を紹介します。

環境問題が原因の新たな健康被害4つ

1.地球温暖化による熱中症や熱ストレス(日本など)

特に日本で深刻なのが気候変動による気温上昇と熱中症の増加です。夏場は毎日のように熱中症で救急搬送された人の数などがニュースになっています。熱中症で亡くなる人は毎年増えており、東京都では2024年夏には、40代以上の計262人が熱中症によって死亡したと発表しました。熱中症による死亡者数は昨年を大きく上回り、増加傾向にあります。

 

2.大気汚染による呼吸器系の疾患(新興国とその周辺諸国など)

大気汚染とは、空気が様々な化学物質によって汚染されることを指しますが、近年取り沙汰されているのが春先になると注意喚起が起こるPM2.5問題です。PM2.5とは大気中に浮遊する、粒子の大きさが2.5マイクロメートル(μm)以下の非常に小さい粒子のことです。その大きさは髪の毛の30分の1ほどといわれ、吸い込むことで喘息や気管支炎などの呼吸器系の健康被害が懸念されています。

 

3.生態系破壊によるマラリア・デング熱などの感染症(アジア・南米・アフリカ諸国など)

地球温暖化や急激な開発で生態系が破壊されると、蚊やダニなどを媒介とする感染症や、それまで限られた地域でしか見られなかった風土病が都市部にも派生。新たな社会問題となっています。これらは世界規模での物流の発達や、航空機などで遠い国や地域から人が行き来することにより広がりを見せ、これらの感染症に罹ることで高熱や下痢、時には命までもが奪われる深刻な健康被害を及ぼしています。

 

4.農業生産物の不作による栄養不足(アジア・アフリカ・中南米諸国など)

地球温暖化による気候変動は、農業生産物にも深刻な被害を与えています。干ばつや豪雨災害で農業生産物がダメージを受けると、食糧不足がさらに深刻化。特に世界の食糧需給を担っているアジアや中南米などでは、経済発展のために数少ない生産物を輸出に回すなど、国内での供給率が下がり、栄養不足などの健康被害に拍車をかけているといわれています。

 

気候変動関連死って?

WHO(世界保健機関)は、気候変動による死亡を「気候変動関連死」と位置付け、「栄養不足・マラリア・下痢・熱ストレス」の4つの要因だけでも、2030年から2050年までに全世界で毎年約25万人もの命が失われると警告しています。気候変動は「熱波・山火事・洪水・熱帯暴風雨・台風」などにも直接関連性があり、その規模や頻度、威力など年々増加しています。これらの気象災害は、直接的または間接的に、私たちの健康リスクを高め、時に死へと至らしめているのです。

 

温暖化による熱中症被害と気温上昇に対する取り組み

地球温暖化による熱中症被害

 

「地球沸騰化時代」と呼ばれるほど、世界各国では海水温の上昇や熱波などによる、健康被害が深刻化しています。日本で夏場に頻繁に起こる熱中症は、今もっとも深刻な健康被害の1つです。

 

熱中症で死亡した人は、体温を調節する機能が落ち込む70代以上の高齢者の方が多く、またその約8割が、室内での適切なエアコンなど冷房機器を使用していなかったということがわかりました。そのほか熱中症で亡くなる人の中には、体温の調整機能がまだ十分に発達していない子どもや、症状を的確に説明することができない障害のある人々も含まれます。私たちは今後、なんとかしてこの身近に起こる健康被害を未然に食い止めなければなりません。

 

将来、熱中症での救急車の稼働率は700倍に

専門家はさらに今後、気温の上昇が止まらない場合、「夏を中心とする温暖な気候の死亡率」が世界中で高まっていくと予想しています。熱帯地域を除いた気候条件では、従来では気温が極端に下がる冬場の死亡が顕著でしたが、今後は「温暖な季節の死亡率」が増加し、夏場の医療現場はひっ迫。21世紀後半には、救急車の稼働率が700倍にも膨れ上がるとの試算も出ているそうです。当然、そうなると医療制度は崩壊し、熱中症関連の死亡者数に歯止めがかからなくなるでしょう。

 

知らない間に体にダメージを与える「熱ストレス」とは

猛暑や酷暑による体への負担は年々増え続け、体だけではなく心的ストレスを与える要因にもなっています。近年よく聞くようになった「熱ストレス」がそれです。熱ストレスとは、35度以上の気温と高い湿度によってもたらされる生理的・心理的な障害を指します。そのような状況下の活動や労働は危険を伴い、極端な場合、熱中症やそれに誘発された既往症などで命を落とす危険性さえあるのです。

 

暑さと湿度が極端に高い環境では体温上昇・心拍数増加・発汗増加などの生理的反応が見られます。また心理的な反応として暑さによる食欲不振や不安感、気分の落ち込み、空調の使用で自律神経の働きが乱れ、睡眠の質の低下やうつ症状を引き起こす可能性も指摘されています。

 

今後どうなる? 気温上昇に対する取り組み

今、世界中で取り組まなくてはならないことが「今世紀末までに世界の平均気温の上昇を産業革命前と比較して1.5度未満に抑える」というパリ協定の目標です。国連広報センターが日本のメディア有志とともに展開する「1.5度の約束ー今すぐ動こう、気温上昇を止めるために。」キャンペーンを見たことがある人もいることでしょう。

 

しかし2024年9月の時点で世界の平均気温は1.3度も上昇し、目標に掲げた1.5度に迫っています。国連環境計画(UNEP)による2024年10月の発表では、2023年の世界の温室効果ガス排出量は571億トンとなり、各国がこのまま対策を強化しなければ今世紀中の世界の平均気温の上昇幅は、パリ協定の1.5度以内の目標を大きく超えて最大3.1度になると指摘しています。

 

もう本当に気候変動対策への取り組みは待ったなし! 私たちはこの地球温暖化というリスクを正しく理解し、国際社会や国、地方自治体の方針や政策だけに任せるのではなく「自分ごと」として捉え、地球温暖化対策への意識を高めていくことが大切です。

 

\地球沸騰化についておさらい/

 

大気汚染による健康被害と解決のための取り組み

大気汚染による健康被害

 

我が国では70年代の高度経済成長期に比べ、大気汚染による呼吸器疾患は減少に転じているといわれていますが、世界では今だに大気汚染による健康被害によって苦しんでいる人々がいることを忘れてはなりません。また近年はPM2.5など、日本国内だけでなく遠く大陸から飛来する「越境大気汚染」も問題となっています。自分の住んでいる地域は空気がきれいだから大丈夫、ではなく、広い視野でこの問題にも取り組んで行かなければなりません。

 

大気汚染で亡くなった人は世界で810万人に

ユニセフによると、2021年に大気汚染が主要因で命を落とした人は、世界全体で810万人にのぼることがわかりました。さらに何百万人もの人々が慢性的な疾患を抱えており、中でも5歳未満の子供達が大気汚染が原因と見られる喘息や肺疾患に。妊産婦の早産や低体重児出産などのさらに深刻な健康被害も報告されています。

 

大気汚染というと大きな煙突からもくもくと煙がたちのぼる光景を連想しますが、現在最も深刻なのは「PM2.5」と呼ばれる微小粒子状物質です。世界の大気汚染による死者数の実に90%以上に当たる780万人の死因がこのPM2.5であると報告されています。

 

これらの微粒子は非常に細かいため吸い込むと肺に蓄積され、血中に入り込んで全身をめぐり、体の器官にダメージを与えます。心臓病や脳卒中、糖尿病など一見すると因果関係がなさそうな病気も深刻に。さらには肺がんや慢性閉塞性肺疾患など、成人の健康リスクを高める原因となるのです。

気候変動でさらに大気汚染が深刻化

PM2.5による大気汚染は、石炭火力発電を始め、輸送などの産業活動で使用する化石燃料やバイオマス燃焼山火事などからも起こるといわれています。汚染物質の排出は、人々の健康に影響を与えるだけではなく、地球の温度を上昇させる温室効果ガスの原因にもなっています。

大気汚染が原因とされる健康被害

アレルギー疾患

  • アトピー性皮膚炎:大気汚染物質が肌の表面を刺激。かゆみに耐えきれず、皮膚をかきむしるとそこからアレルゲン物質が体内へ入り、皮膚炎を引き起こすと考えられています。
  •  

  • アレルギー性結膜炎:PM2.5などの大気汚染物質がアレルギー反応を強め、結膜炎などの症状が悪化するといわれています。

 

呼吸器系疾患

気管支炎や喘息、肺の病気など呼吸器系疾患の原因となるのも、石油や石炭などの化石燃料が燃える際に発生する大気汚染物質です。最も厄介なのが浮遊粒子状物質(SPM)と呼ばれる物質です。これらはPM2.5よりも小さいため、呼吸器の奥まで入り込んで、肺炎や気管支炎を誘発したり、がんやアレルギー、心疾患との関連も指摘されています。

 

今後どうなる? 大気汚染に対する取り組み

日本の大気汚染は高度経済成長期に比べるとかなり改善されたといわれていますが、経済を回し、生産活動を維持するために、今もなお工場や火力発電所が稼働しています。大気汚染防止法での規制があるため、大気汚染物質を分離除去する集塵装置や、排出ガス中の酸化物を除去する技術の導入など削減の努力は続けられています。

 

しかし今後はもっとその取り組みを強化促進しなければ、到底パリ協定の目標には追いつきそうにありません。私たちの生活でもゴミ削減やマイカーの使用を控えるなど、さらに一歩踏み込んだ取り組みが肝心です。近年は、産業発展が進むアジア地域の火力発電所、工場や自動車の燃料消費により汚染された大気が海を越えて気流に乗って日本まで流れてきています。日本では今や減少傾向にある汚染物質が風に乗って運ばれ身近な地域で検出されるなど、私たちの生活と健康が脅かされているのです。

 

こうした「越境大気汚染」を改善するには、近隣諸国との信頼関係を強化することが大切です。アジア地域で行われる国際会議など、国や団体、企業の代表が積極的に提案や発言を続け、国際強調という旗印のもと、発生源となっている途上国の環境問題を一緒に解決することが強く求められています。

 

\排気ガスと大気汚染/

 

生態系の破壊よる感染症の健康被害と取り組み

生態系の破壊よる健康被害

 

感染症と聞くと、2019年に世界的に流行したコロナウイルス(COVID19)を思い起こしますが、人に感染するウイルスはこれまでに400種以上見つかっているといわれています。感染症と環境問題は一見関連性がないように思われますが、地球環境の悪化や生態系の破壊など、私たち人間の活動自体が問題視され、専門家は感染症の発生と自然環境の破壊に警鐘を鳴らしています。またこうした感染症の元となるウイルスは、外国ですでに感染した人が来日または帰国したり、輸入コンテナに潜む蚊やダニなどの節足動物や、ペットとして輸入された外来生物により媒介され、国内に流入する可能性も示唆されています。

環境破壊が発端? 野生動物から人へのウイルス感染

感染症は、主に自然宿主とされる鳥や野生動物、蚊やダニなどの節足動物がウイルスを媒介し、それらの動物と人との接触が発端となって感染。さらに人から人へと伝染していくことで「流行」「拡大」します。自然宿主の身近な例では、ほとんどのインフルエンザウイルスを媒介するといわれる水鳥(水禽類)が有名です。また2002年から2003年にかけて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因ウイルスであるSARSコロナウイルスの自然宿主はコウモリだと考えられています。

 

こうした野生動物から人や家畜などにうつる感染症を「人獣共通感染症」といい、WHO(世界保健機関)が確認しているだけでも200種類以上あるといわれています。人獣共通感染症は、近年急速に進んだ都市開発や地球温暖化などの影響で自然界と人間社会との境界が失われ、人間が野生動物に接してしまうことで発生する機会が増えたといわれています。環境問題と感染症の発生は全く無関係とはいえないのです。

 

自然宿主は大きな動物や鳥だけとは限りません。蚊やダニなどの節足動物は人類史上、最も人を死にいたらしめてきた生き物です。蚊が媒介するマラリアは近年では治療薬や予防薬もありますが、西日本で多く報告されているマダニによる感染症は、発見されてから10年ほどしか経っておらず、有効な治療薬がないのが現状です。

今後どうなる? 感染症に対する新たな取り組み

専門家によると「人獣共通感染症」が起こるようになった一番の原因は、「生態系の破壊」にあるといいます。生態系を支えている多様な生物が、森林破壊や動植物の乱獲、環境汚染、気候変動など人間活動による破壊によって今、危機的状況に陥っているのです。

 

もともと多様な生物が織りなす「自然生態系」は食物連鎖の上にいくほど個体数が少ないのですが、今生態系のトップに立っている人類は80億人。とてつもなく増えすぎて、生態系に大きな負荷をかけています。そんな定員オーバーの人間に対して、それまで土中や動物の体内にいたウイルスがヒト型に変異して病気や死に至らしめるのは、生き物たちが生きていくための一種の「抵抗」だというのです。

 

新型コロナウイルスの時もそうでしたが、人類は未知の感染症に対してあまりにも無防備です。特効薬やワクチンの開発はもちろん大切ですが、環境問題の視点からは、「野生動物や昆虫などの生き物と人間との境界線を守ること」「人間の手が入っていない深い森や山にむやみに近づいたり分け入ったりせず、お互いのテリトリーを守ること」が大切なのです。

その他の環境問題が原因の健康被害

森林火災雨や海洋汚染が原因の健康被害

 

環境問題が原因の健康被害は、まだまだあります。この項では米国や豪州など、乾燥地帯で多発している森林火災による健康被害、海に流れ出たプラスチックごみで海や水質が汚染されて起こる健康被害、海水温の上昇によって起こる健康被害を紹介します。

森林火災|煙に漂う「真菌」から渓谷熱に感染?

アメリカやオーストラリアなど乾燥した地域で多いのが、森林火災です。火事の多くは人間の不注意から起こりますが、乾燥した地域では「雨をともなわない落雷」や「落ち葉同士の摩擦熱」から、自然発生的に山火事が起こるのです。

 

もともと自然現象である山火事は、森林の健康を守り、新たな植物の生育のために必要とされてきました。しかし近年、北米などでは温暖化による積雪量の減少と雪が溶ける時期が早まることによって、山火事のシーズンが長引くことが指摘されています。

 

アメリカの西海岸では、都市部の地価が高騰したため、価格の安い山間部まで宅地開発が迫り、一度火災が起きれば、人家のすぐそばまで火の手が迫る事態に陥るのです。そうした森林火災では、家屋が焼かれるなどの損害に加え、鎮火するまでの間に多量の煙を吸ったために起こる呼吸器系疾患などの健康被害があります。

 

近年さらに北米などで問題となっているのが、火災による煙の中の真菌がもたらす「渓谷熱(コクシジオイデス症)」です。この真菌は土壌に生息しており、含まれたホコリを吸い込むことで感染します。人から人への感染は報告されていませんが、コクシジオイデス症の発症例のほとんどは山火事が多発している米国・カリフォルニア州で起きています。

 

こうした真菌類による健康被害は「輸入真菌症」と総称され、免疫力の低下した人が感染すると重症化しやすいので注意が必要です。日本では海外からの帰国者に年に数件の発症例があるそうですが、放っておくと重症化することもあるので、外国で森林火災に巻き込まれた、または秘境などの洞窟を訪れた場合などは、帰国後の体調に注意し咳などの症状がないか経過観察を怠らないことが大切です。

 

\海にも関係する山の環境問題/

 

海洋汚染|「マイクロプラスチック」が魚介類に蓄積?

海に流れたプラスチック製品は、紫外線や波に洗われ劣化します。直径5ミリ以下に細かく砕けた状態をマイクロプラスチックと呼びますが近年、日本の近海でもこのマイクロプラスチックを海の生物がエサと間違えて食べてしまうなど、生態系と海洋環境への影響が重大な問題となっています。

 

プラスチックは石油由来の原料から人工的に作られた化合物で、自然界に放出されても分解されないため、海の底へ沈んで蓄積されたり、それを食べた海洋生物の体内に取り込まれる危険性があります。それだけではなくマイクロプラスチックはダイオキシンなどの有害化学物質を取り込みやすいことがわかってきました。食物連鎖によって私たち人間が口にする魚介類から、そうした有害物質が人体に影響を与える可能性も否定できないのです。

 

\プラなし博士に聞く海洋汚染/

 

海水温の上昇|「腸炎ビブリオ」による食中毒が急増?

海水温の上昇は、異常気象をもたらすだけではなく、私たち日本人の身近な食べ物にも影響を与え、健康被害をもたらしています。その代表例が魚介類による「食中毒」です。食中毒は5月頃から始まり、6、7、8月でピークを迎えます。

 

この時期、海水温が15度以上に上昇すると、もともと海にいる「腸炎ビブリオ」という細菌が活発化します。その海域で獲れた魚介類を洗浄や保冷など、適切な処置が不十分な状態で食べた場合、8〜12時間の潜伏期間ののち、激しい腹痛や下痢、嘔吐など食中毒の症状に見舞われるのです。潜伏期間は短い場合で2〜3時間といわれ、ほとんどが回復に向かいますが、こうした海水温の上昇が日本特有の生食文化をおびやかし、時に健康被害につながるということを忘れてはなりません。

健康被害をなくすために私たちにできること

健康被害をなくすため私たちにできること

 

私たちに身近な環境問題による健康被害は、大気汚染だけでなく、気温上昇による熱中症での死亡リスクや、環境破壊、生態系破壊で起こる新たな感染症リスクなど、多岐に渡ることがわかりました。これらの健康被害をなくす、またはリスクを減らすためにはどう取り組めばよいか、考えてみましょう。

 

環境問題による健康リスクを「自分ごと」として捉える

地球温暖化による熱中症から大気汚染でのアレルギー疾患や呼吸器系疾患。また生態系の破壊が発端となる感染症のリスクなど、環境問題が引き金になって起こっている健康被害は意外に多いことがわかりました。身近な高齢者は夏場は熱中症のリスクと隣合わせです。また世界では小さな子どもを中心に、大気汚染による健康被害で命を落とす子どもがいることも忘れてはなりません。

 

また魚介類を常食してきた日本人には、海洋汚染や海水温の上昇も見過ごせない問題です。現状のペースでプラスチックごみが増え続けると、2050年までに「ゴミの量が魚の量を上回る」ともいわれています。プラスチックは確かに便利な素材ではありますが、海を汚し魚たちの命をおびやかし、その先に魚の漁獲量が減るばかりか、私たちの健康にまで影を落とす「身近な問題」として「自分ごと」と捉えなければなりません。

健康被害の問題に取り組む団体や企業を応援する

熱中症対策への公共の取り組みでは、全国42の都道府県や各市町村でクーリングシェルター(指定暑熱避難施設)の設置が急速に普及しています。クーリングシェルターとは、気候変動法に基づいて、適切な冷房設備を有する庁舎や図書館、公民館などの公共施設を誰もが利用でき、暑さをしのげる取り組みです。地域によってはクールシェルター協力施設として、大型ショッピングモールやホームセンターなどに暑さをしのぐ休憩所などの設置が進んでいます。このほか「無料の給水スポット」の設置も熱中症対策に有効な手立てとして注目され、市庁舎や大きな公園、環境に配慮した取り組みを行う企業を中心に増えています。

 

この他、世界的な規模で環境問題による健康被害の解決に取り組むユニセフや途上国の衛生問題を解決するために水道事業などに取り組むJICA、その他、国際協力NGOや企業の取り組みにも注目し、ボランティアや寄付、またこうした活動をSNSで紹介するなど「応援」することも、環境問題による健康被害の問題を「自分ごと」に引き寄せる立派なアクションになります。

 

\スタッフが給水スポットを巡ってみた!/

 

まとめ

ここまで環境問題と健康被害の関連性についてお伝えしました。地球全体の環境問題が深刻化したのは、私たち人間の経済活動、消費行動が大きな原因です。今ある環境問題は命のリスクと隣合わせ。どんなに医療が進んでも、熱中症や未知の感染症には勝てない現実があるということを肝に銘じながら、環境問題を「自分ごと」にして「できること」からこれからもみんなで考えていきましょう。

 


参考・引用文献

アストラゼネカ株式会社 | 気候変動と健康 気候変動関連死について

NHKクローズアップ現代 | 熱中症以外にも!? 新たなリスク「気候変動関連死」(2024年9月)

NHK NEWS | 国連 “世界の平均気温 今世紀末までに最大3.1度上昇”(2024年10月)

ユニセフ プレスリリース | 毎日約2,000人の5歳未満児、大気汚染で死亡(2024年6月)

独立行政法人 環境再生保全機構 | 日本の大気汚染の歴史

国立感染症研究所 | 感染症を媒介する昆虫・ダニ類

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