コンポストとは?
コンポストは、有機物を分解して肥料にするためのプロセス、またはその肥料そのものを指します。一般的に、野菜や果物のくず、草、葉、紙などの有機物を通気性のある容器に入れ、湿度を管理し、適度にかき混ぜることで、数週間から数か月で堆肥を作り出すことができます。また、市販のコンポスト容器も種類やサイズがたくさんあるので、各ご家庭の目的や用途に合ったコンポストで生ごみのリサイクルを始めることができます。
コンポストの種類
コンポストには、種類によって特徴があるので、利用する場所や家族の人数、ごみの量などに応じて、自分に合ったコンポストを選ぶことが大切です。一般的には、以下のようなコンポストがあります。
段ボールコンポスト
段ボールに母材と生ゴミなどを入れ、適度に湿らせ、かき混ぜることで、自然な分解が始まり、数週間から数か月で肥料ができあがります。通常のコンポストよりもコンパクトで取り扱いやすく、家庭の庭先やベランダでも簡単に作ることができます。ただし、大量の有機物を処理したい場合や、長期間使用したい場合には、より大きなコンポストを使用することをおすすめします。
土中式コンポスト
地面に穴を掘って作るコンポストで、有機物を自然な分解によって肥料に変えることができます。土の中で微生物が有機物を分解するため、ほとんどの場合臭いは気になりません。また、ケースなどから取り出さずに直接肥料として使用することができるため、肥料としての使いやすさは抜群。ただし、地域の条例によっては許可が必要な場合があるため、事前に確認する必要があります。
密閉型コンポスト
バケツやプラスチック製の箱など、密閉された容器の中に有機物を入れ、微生物や酵素によって分解させることで、肥料を作り出します。有機物を入れる前に発酵用の促進剤を加え、分解を促進させるのがおすすめです。通常のコンポストよりも臭いが少なく、外気や害虫の影響を受けにくいという利点があります。また、コンパクトで取り扱いやすく、ベランダや屋内でも使用することができるため、都市部でも広く普及しています。
ミミズコンポスト
ミミズが有機物を分解することで、肥料に変えるコンポスト。ミミズが有機物を食べ、消化することで、有機物を栄養豊富な堆肥に変えることができます。一般的なコンポストと比べて、分解が早く、臭いも少ないとされています。また、ミミズの排泄物に含まれる成分が、植物の成長を促進するため、高品質の肥料を作り出すことができます。
コンポストの使い方とコツ
コンポストに入れて良いもの、悪いもの
コンポストに入れる生ごみの種類は、野菜や果物の皮、コーヒーのかす、茶葉、紙類(新聞紙や段ボール)などがあります。一方、肉や魚のくず、タバコの吸い殻、化学肥料を含む物質などは分解に時間がかかり、腐敗が進むことで悪臭や害虫発生の原因になるので、コンポストには入れないようにしましょう。生ごみを捨てる前に、入れることができるものとできないものを確認し、分別することが大切です。
コンポストへの投入
コンポストに生ごみを入れる際には、生ごみを細かく刻んだり、茶葉や落ち葉を混ぜたりすることで、分解を促進することができます。また、生ごみを入れた後は、水を加えることで、湿度を調整します。
中身の混ぜ方
コンポストの中身は、定期的に混ぜることで通気性を確保します。コンポストの中身を外側に移動させ、中心部分に酸素を送り込むよう意識しながら混ぜましょう。
堆肥の取り出し
コンポストの中の生ゴミが堆肥に変わったら、取り出すことができます。堆肥は、腐葉土と混ぜたり、鉢植えの土として使用することができます。堆肥を取り出すときは、大きな物を取り除いてから、手袋やマスクを着用し、丁寧に取り出しましょう。
コンポストによっては、使用方法が異なる場合があるため、取り扱い説明書を必ず確認するようにしましょう。また、市販のコンポストを購入する場合は、予算や家庭の生ゴミの量、管理方法などを考慮して、適切な種類を選ぶことが大切です。
\コンポストに入れるのはどっち?/
コンポストの管理方法
日光と風通しの良い場所に設置する
コンポストを設置する場所は、日当たりと風通しの良い場所が良いとされています。日光が当たることで乾燥を防ぎ、風通しの良い場所に設置することで、空気が入りやすくなります。また、コンポストは臭いが出るため、住宅から離れた場所に設置することが望ましいです。
定期的に中身を混ぜる
コンポストの中身は定期的に混ぜることで、空気を入れ、分解を促進することができます。混ぜる頻度は、コンポストのタイプや中身の状態によって異なりますが、一般的には1週間から10日に1回程度が適切とされています。また、コンポストに入れる生ゴミは、小さく切ってから入れるよう注意しましょう。
適切な水分量に調整する
コンポストの中には水分が必要ですが、水分が多すぎると腐敗してしまいます。適切な水分量は、手で握ったときに水が滴り落ちない程度が適切です。水分が多い場合は、古新聞や雑誌などを混ぜることで水分を調整することができます。逆に、水分が足りない場合は、水を加えることで適切な湿度を保つようにしましょう。
コンポストのメリット
最近では、一般のご家庭でも手軽にできるコンポストが増えています。そもそもコンポストにはどんなメリットがあるのでしょうか?
自然環境に優しい
ごみの量が減ることで、各自治体の焼却処分施設の手間や燃料、費用の削減の他、焼却の際に発生する二酸化炭素排出量の削減が期待できます。
肥料として利用できる
コンポストから取り出した堆肥は、有機物が豊富に含まれており、植物に栄養を与えるための肥料として利用することができます。また、化学肥料を使用しなくても、土壌の改善につながり、自然な栽培ができるようになります。また、余った堆肥を地域の学校や農家など地域に還元することもできます。
家庭で始められるリサイクル
コンポストは家庭で始めることができ、毎日の生活から出る生ごみを有効にリサイクルすることができます。また、自分で堆肥を作ることができるため、外部からの肥料の購入を減らすことができ、経済的にもメリットがあります。
トラブルの原因と対処法
生ゴミを分解する過程で、悪臭が発生したり、虫が湧くことがあります。特に夏場や湿度の高い場所では注意が必要です。コンポスト初心者にとっては、気になることがたくさんあると思います。ここでは、代表的なトラブルの原因や対処法について解説します。
湿度が過剰で、有機物を分解する微生物が異常繁殖している
<対処法>
適切な湿度を維持するために、湿度計を使用して湿度を確認し、必要に応じて通気孔から水分を蒸発<させます。適量のドライマテリアル(紙、枯葉、木くず)を混ぜて、湿度を調整することも有効です。
有機物の分解に必要な空気が不足し、腐敗している
<対処法>
コンポスト内に通気孔を設け、空気の循環を促すことで、空気不足を防ぎます。
分解が遅く、腐敗しやすいごみを入れている
<対処法>
柿やメロンなどの強い香りを持つ食べ物や、肉、魚、乳製品などの動物性の食べ物は、分解が遅く、腐敗しやすいので、少量を使用し他の有機物と混ぜることで、分解を促します。
適切な分解期間が過ぎている
<対処法>
適切な分解期間を守るために、適切な分解温度、湿度、通気を確保します。また、周期的に混ぜたり、適量のバイオ活力剤を加えることで、分解を促進することができます。
コンポストでできた堆肥の使い方
コンポストでできた堆肥は、肥料として庭や植木鉢の植物に使うことができます。適切な量とタイミング、保存方法に注意し、植物に与えることで、栄養豊富な肥料として活用することができます。庭やベランダで家庭菜園をしたり、ガーデニングに活用したりしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。コンポストを利用することで、家庭で生ごみのリサイクルができます。手間と時間はかかりますが、堆肥を作ることができるため、家庭菜園や植木鉢での育成に役立てることができる他、焼却処分よりも環境に優しい方法で、自然に還元することができます。堆肥作りを通して、自然や季節を身近に感じ、日々の生活の中で小さな循環<を感じることで、地球環境へ意識をむけるきっかけになると思います。ぜひ、この機会にご家庭でのコンポストの利用に挑戦してみてはいかがでしょうか。